2021 Fiscal Year Research-status Report
医学における「ビジュアルアート教育」に関する調査研究
Project/Area Number |
21K10327
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
小比賀 美香子 岡山大学, 医歯薬学域, 講師 (00610924)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木股 敬裕 岡山大学, 医歯薬学域, 教授 (50392345)
松本 洋 岡山大学, 医歯薬学域, 助教 (20423329)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ビジュアルアート教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、「ビジュアルアート教育」を受けた医学生に対するアンケートおよびフォーカス・グループの結果をもとに、「ビジュアルアート教育」の教育効果について、経時的に量的および質的研究手法にて詳細に明らかにする。 臨床実習でビジュアルアート教育を受けた医学生50名を対象に質問紙調査を行った。質問紙は、多次元共感性尺度、価値志向性尺度の「審美」に加えて、特性形容詞尺度を抜粋して作成した、架空の患者に対する印象評価、医療者への芸術教育の有用性を問う項目等で構成した。ビジュアルアート教育の前後に配布し、結果を分析した。ビジュアルアート教育を行うことで、自己を架空の人物に投影させる認知傾向を表す「想像性」が17.50±4.54から18.14±4.66(t(49)=2.05,p<.05)へ、相手の立場からその他者を理解しようとする認知傾向を示す「視点取得」が19.34±2.37から20.30±1.82(t(49)=3.08,p<.01)へ、「審美」が40.46±8.36から43.78±7.96(t(49)=4.80,p<.001)へ上昇した。架空の患者の印象評価課題では、「個人的親しみやすさ」が、6.50±1.83から5.84±2.02(t(49)=3.13,p<.005)へと低下した。医療者に対する芸術教育の有用性評価が高まった(p<.005)。ビジュアルアート教育前後の「審美」の変化分は「想像性」と相関(r=.3.81,p<.01)する一方、「視点取得」とは相関しなかった(n.s.)。ビジュアルアート教育を行うことによって、「視点取得」を中心に医学生の共感性が高まった。また、「視点取得」と「審美」の変化が無相関であったことから、単に芸術に触れればよいというわけではなく、教育成果を得るには、どのように学習プロセスを設計するのかが重要であると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナ禍で中止期間があったものの、岡山大学病院形成外科で臨床実習する岡山大学医学部5年生対象に、順調にビジュアルアート教育を実施し、アンケートによるデータ収集を行っている。フォーカス・グループに関しては、まだ実施できていない。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、ビジュアルアート教育参加者が増えていくため、参加者数を増やして解析を続けていく予定である。解析結果は、日本医学教育学会の一般演題、およびシンポジウムで発表予定である。
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Causes of Carryover |
(理由)コロナ禍などにより、研究打ち合わせ、出張が未実施となり、予定より使用額が減少した。 (使用計画) 引き続き、データ蓄積を行い、解析継続を予定している。学会参加や、論文発表にも使用予定である。
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