2021 Fiscal Year Research-status Report
自動問診AIの利用を前提とした診断精度を最大化する診断思考理論の開発
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21K10355
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Research Institution | Dokkyo Medical University |
Principal Investigator |
原田 侑典 獨協医科大学, 医学部, 講師 (40810502)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
志水 太郎 獨協医科大学, 医学部, 教授 (50810529)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 自動問診AI / 診断エラー |
Outline of Annual Research Achievements |
外来で自動問診AIを利用し、14日以内に予期せぬ入院に至った患者を対象とした後ろ向き観察研究を行った。診断エラーを「適時で適切な診断機会の逸失」と定義し、Revised Safer Dx Instrumentを用いて診断エラーの発生頻度を検証した。その結果、対象となった146人のうち16人(11.0%)に診断エラーが認められた。診断エラー発生率は過去の報告よりも若干低く、自動問診AIを導入することで診断エラー発生が抑制された可能性が示唆された。また、確定診断に至った患者138人のうち69人(50.0%)で最終診断名が自動問診AIの挙げた鑑別リスト内に含まれており、問診のみの時点での診断精度としては十分な高さを示した。一方で、統計学的に有意ではないものの、自動問診AIが挙げた鑑別リスト内に最終診断名が含まれていない場合は、含まれている場合と比較して診断エラー発生頻度が高い傾向にあった。 また、医師を対象として、自動問診AIが作成したカルテを読んで鑑別診断を3つまで挙げ、その中に最終診断が含まれる割合(正診率)を比較するランダム化比較試験を行った。介入群は自動問診AIが作成した鑑別診断リスト併用、コントロール群は鑑別診断リスト非併用とした。自動問診AIが作成した鑑別診断リストの中に最終診断が含まれる割合は50%と設定した。正診率は介入群57.4%、コントロール群56.3%で差はなく、自動問診AIが作成した鑑別リスト自体は医師の診断精度に影響を与えず、カルテの質が問われることが示唆された。また、自動問診AIが作成した鑑別診断リストの中に最終診断が含まれている場合は、含まれていない場合と比較して、医師の挙げた鑑別診断内に最終診断が含まれる可能性がオッズ比7.7と有意に上昇することが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
自動問診AIの全体的な診断精度、および自動問診AIの要因による医師の診断精度への影響について明らかにすることができた。また、診断エラー例を抽出することもできており、今後の検証に活かすことができる下地を作ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
診断精度、診断エラーに関して、医師要因よりもAI要因、症例要因が強く影響することが示唆されており、今後は症例要因、AI要因を詳しく分析することが求められる。更なるデータの蓄積から自動問診AI利用例の疾患や複雑度毎の診断精度について検証を進めるとともに、診断エラー発生例の蓄積と分析を通して、自動問診AIを利用する際の診断思考戦略の開発につなげる。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の影響で学会や研究会への参加・出張が減り、使用する額が減ったこと、論文出版に関して当初よりも出版料を押さえることができたことなどが理由として挙げられる。翌年度は学会への参加・出張、研究参加者への謝金などが発生することが見込まれること、論文出版に関する経費が増えることが予想され、これらに使用する見込みである。
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Research Products
(4 results)