2021 Fiscal Year Research-status Report
画像下治療IVR時の医療従事者の被ばく低減最適化に寄与する線量分布図に関する研究
Project/Area Number |
21K10366
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
工藤 幸清 弘前大学, 保健学研究科, 教授 (10214967)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小山内 暢 弘前大学, 保健学研究科, 助教 (40514138)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 医療従事者 / 被ばく低減 / 線量分布図 / IVR |
Outline of Annual Research Achievements |
標準的な透視条件(管電80kV、X線管角度0°:X線方向は下から上向き)で矩形ファントム(30cm×30cm、厚さ20cm)と人体ボクセルファントム(ICRP Pub. 110、照射野中心は正中の肝臓レベル)の床から高さ100cmにおける空間線量分布(以下、線量分布)のシミュレーション(PHITS)結果を比較した。その結果、足側(X線管より離れた側)の線量分布形状が大きく異なり人体ボクセルファントムでは線量率が小さいことが判明した。 次に、人体ボクセルファントムについて、X線管角度±45°、±90°の場合の医療従事者の立つ位置(X線管から足方向へ距離50cmにおけるファントムの正中から±50cmの位置の場合)での線量分布を比較した。X線管角度±45°、±90°のいずれの場合も検出器側の方がX線管側に比べて線量率が小さくなった。特に±90°での線量分布の形状の違いは顕著であった。 さらに、照射野サイズについて、X線管角度0°での肝右葉を照射野中心とし、照射野 30cm×30cm、30cm×15cm、30cm×10cmの線量分布を比較した結果、照射野を絞ることで線量率が小さくなった。 以上の結果から、ファントム形状、X線管角度、照射野サイズの変化により線量分布の変化が大きく、医療従事者が患者の処置中に線量分布状況を知る有用な情報提供になると考えられた。 また、矩形ファントムについて、管電圧変化(60から100kV)ならびにフィルタ変化(0.1から0.3mmCu)による線量分布のシミュレーションを行い、空間線量の実測値と比較した結果、空間線量は管電圧やフィルタに依存するが、線量分布形状への影響は小さいことが判明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初、頭部を想定したが矩形ファントムの大きさを考慮し体幹部でのデータ取得を想定することとした。そのため人体ボクセルファントムでの設定位置を肝臓レベルとした。この影響が本研究に与える影響は小さく、体幹部を想定したデータ取得において、シミュレーションと実測を行い、以下について明らかにした。 矩形ファントムと人体ボクセルファントムの散乱線による空間線量分布の違い、人体ボクセルファントムにおける管球角度、照射野の大きさによる空間線量線分布の違いを明らかにし、かつX線出力の管電圧の違いとフィルタの違いが空間線量分布形状へ与える影響を実測値との比較により評価し、その影響が小さいことを明らかにした。 これらの理由から、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度は、2021年度に引き続きシミュレーションを行う。ファントム位置については、正中から横方向、縦方向(頭足方向)に移動した場合のデータを収集・構築し、分布図の形状を評価し報告する。進歩状況次第では2023年度の計画を一部実施する。 2023年度は、表示方法について検討する。表示は 2次元であるが、PHITSでは3次元データの収集が可能であり、空間線量分布を 3D ソフトウェア Paraview により3次元表示を行う。またX線管回転時の分布の変化を動画表示する。これらの表示と2次元表示の分かりやすさ等の違いを医療従事者または大学生に対しアンケート調査により明らかにする。また、ある透視条件での空間線量分布をシミュレーション構築した分布図の中からその透視条件に応じた分布をモニタに出力できるようにシステムを開発し、結果を報告する。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由として、情報収集や学会参加のための出張がコロナウィルス感染拡大防止の影響により実施できない状況であったことが大きな要因である。 次年度は次年度分として請求した助成金と合わせ、積極的に情報収集や学会参加に加え、データ収集のための人件費と実験機材の充実のための購入費に充てる。
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