2022 Fiscal Year Research-status Report
Research on the construction of clinical ethics consultation systems for promoting patient safety
Project/Area Number |
21K10376
|
Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
板井 孝一郎 宮崎大学, 医学部, 教授 (70347053)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 臨床倫理コンサルテーション / 臨床倫理サポート / 臨床倫理コンサルタント / 患者安全 / 医療安全 / コンピテンシー |
Outline of Annual Research Achievements |
令和3年度の調査を受けて、「個人レベルで身に着け改善することが可能な知識knowledge・技術skills・態度attitudes」について、米国ならびに英国における「コア・コンピテンシー」と対比しながら、特に3番目の「態度」にフォーカスした探索を行った。ASBHの報告書第2版では、当初第1版の3番目が「性格character」となっていたことをめぐって、第2版作成タスクフォース・メンバーのあいだでも「倫理コンサルテーションに関連する用語としては、問題点の多い用語選択」であるとの見解が示され、コンピテンシーとは本来「安定的に好業績を達成している人材に共通して観察される行動特性」であるため、「観察可能な行動のセット、ある特定の行動において内面化された傾向性や、その人材にとってより基本的な構成要素」であることを表現するには相応しくなく、特に初版の「性格」という表記では、まるで個人が生まれ持った特質のために育成もトレーニングもできないものであるかのような誤解を与えること等から、「特性、態度、行動Attributes, Attitudes, and Behaviors」と改められるに至っていたことが確認できた。英国においても「個人的な性格、態度personal characteristics, attitudes」と記されており、確かにcharacterに相当する表現は残っているものの、「行動特性」という意味合いのあるattitudesが併記されており、英国では米国になかった「公正さ、自己認識、反照反証的姿勢fair mindedness, self-knowledge, reflection」といった「自己を客観視する論理的思考力」がより明確化されているところに特徴があることも明確になった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナ情勢を踏まえ、英国への渡航は困難であったが、令和3年度の調査を踏まえ、計画通り、半構成的インタビューによって抽出されたカテゴリ・サブカテゴリと、米国ASBH、英国UCKENによる臨床倫理コンサルタントに求められるコアコンピテンシーとの比較検討を実施することはある程度完了したことから「おおむね順調に進展している」と判断した。
|
Strategy for Future Research Activity |
研究の最終年度として、特に「組織防衛」としての安全「管理」ではなく、patient safety(患者安全)のためにこそ「安全で安心な医療」を自覚的・意識的に推進する「無危害 nonmaleficience」倫理原則を基盤とした「臨床倫理サポート」体制のあり方について、Core Skills(特に倫理的推論およびコミュニケーション・スキル)と相関させながら、「臨床倫理サポート」の体制構築の病院内モデルをどのように構築すべきかについて提言を行う。
|
Causes of Carryover |
新型コロナにより、前年度に引き続き渡航計画の見直しを余儀なくされ、さらに燃油サーチャージの上昇に伴う航空運賃の値上げ等、物価上昇を考慮し、繰り越しを行う 判断とした。
|