2023 Fiscal Year Annual Research Report
Research on the construction of clinical ethics consultation systems for promoting patient safety
Project/Area Number |
21K10376
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
板井 孝一郎 宮崎大学, 医学部, 教授 (70347053)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 臨床倫理コンサルテーション / 臨床倫理サポート / 患者安全 / 責める文化 / 非難する文化 / 支援する文化 |
Outline of Annual Research Achievements |
国内20医療機関において臨床倫理コンサルテーションを実践している38名(医師19、看護師17、事務職1、MSW1)に対し半構成的インタビューを行い、令和4年度においては「個人レベルで対応可能な知識・技術・態度」にフォーカスし、階層化によりサブカテゴリー49、カテゴリー11が抽出された。最終年度は個人レベルでは対応できない「組織全体として取り組むべき課題」に着目し、テーマ分析(Flick,2011)の手法を用いて分析した結果、「必要最低限の情報」、「事例の特性に応じて職種の専門性を生かす配置」、「倫理的な話し合いを促進する働きかけ」、「事例に関わっていないスタッフへの教育的効果」等18のサブカテゴリ―、および以下5つのカテゴリー「組織としての臨床倫理コンサルテーションの在り方を模索」、「効果的な初動体制」、「組織の管理者が持つべき考え方」、「オンザジョブ・トレーニング」、「オフザジョブ・トレーニング」が抽出された。とりわけ上記の中でも「組織の管理者が持つべき考え方」において、組織のトップ・マネジャーが倫理についてオープンに話し合える組織風土を構築できているか否かが極めて重要であり、「患者安全」を実現していくには、「個人の責任」のみに矮小化するような「責める文化」であっては、医療従事者自身の「安全・安心」も守れないこと、「道徳心」や「人徳」も大切ではあるが、「倫理とは、個々人の資質・性格」のみに起因するかのような倫理教育では、「清廉潔白な聖人君子」のようになろうと過剰に努力し過ぎた医療従事者がバーン・アウトしてしまうこと、さらにはインシデント・アクシデントに係わった現場スタッフを「犯人扱い」し「非難する文化」から、患者の「安全・安心」、そして医療従事者自身の「安全・安心」も組織的に支える「支援する文化」へシフトすることが「臨床倫理サポート」体制の院内構築において肝要である。
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Research Products
(5 results)