2021 Fiscal Year Research-status Report
糖尿病患者の治療意欲を引き出す新たな行動変容促進アプローチの開発
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21K10379
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
毛利 貴子 奈良県立医科大学, 医学部附属病院, 研究員 (30745435)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡本 左和子 奈良県立医科大学, 医学部, 講師 (20721385)
石井 均 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (30422934)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 行動変容 / 糖尿病 / 治療意欲 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究のアンケート調査などを進める前に、プレ研究の考察を見直し、研究の目的に掲げた医療者の行動の関わりを整理し、本研究にどのように生かすかを整理した。プレ研究では、日本の2型糖尿病患者でも、HbA1c値が低い人に情報収集行動がみられた。海外の先行研究では治療に前向きになれない不健康な行動に関係することが指摘されていたが、患者のもともと持っている性質が否定的な傾向でも情報収集の意欲につながる場合があること、患者の感情は否定的な思考傾向を通してHbA1c値に関係するため、患者の思考傾向を受容した支援の必要性などが示唆された。そこで、コミュニケーションの専門家と糖尿病専門医、公衆衛生学の専門家の視点から考察を深め、交互作用についての再分析を行った。その結果、「物事がうまくいかないのは自分のせい」と思い、受診までの期間が長い回答者は、有意に情報収集行動を起こすことが示され、「物事がうまくいかないのは自分のせい」という傾向のみでは、情報収集行動との有意差を認めないことが明らかになった。先行研究にあるように患者の自己管理が出来ない要因の一つだと当初考えていた、患者がもともと持っている否定的な思考は、内容によっては、いくつかの要因と相互に作用し、情報収集行動を自ら起こす前向きな方向に変わる可能性があるという考察を得た。医師・患者関係の専門家ともディスカッションを続けており、同時に具体的なアンケートの質問項目を作成中である。 また、当初予定していた研究代表者以外の医療者の調査ができるよう、また、代表者以外の医師の患者にもアンケート調査が行えるよう、協力を依頼した。具体的には当科の医師や学生に対して、複数回のカンファレンスを行い、以前プレ研究として行ったアンケート内容や結果を参考として紹介し、本研究ではさらに広範囲でデータを集められるよう協力を求めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
研究代表者の所属する臨床担当人数の減少とコロナ禍での臨床業務量の増加、自身の体調不良、質的研究施行予定のメンバーの一時休暇取得により、研究代表者の研究に配分できる絶対的時間が不足した。そのため進捗状況は遅れているが、着実にアンケート作成は進めており、遅れは取り戻せると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
コミュニケーションの専門家と糖尿病専門医、内分泌内科専門医、公衆衛生学ならびに医師・患者関係学の専門家とのディスカッションを行って患者の視点を導入した第一回目のアンケートの作成、実施を先に遂行する。質的研究内容は、第一回目のアンケート調査後、再度遂行する際に加味する。コロナ禍の対策として、積極的に遠隔での会議を設定する。
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