2021 Fiscal Year Research-status Report
胎児期POPs曝露による神経炎症が児のADHD症状へ与える影響の解明
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21K10390
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
伊藤 佐智子 北海道大学, 環境健康科学研究教育センター, 特任准教授 (90580936)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山崎 圭子 北海道大学, 環境健康科学研究教育センター, 特任講師 (60732120)
須山 聡 北海道大学, 大学病院, 特任助教 (70758581)
山口 健史 北海道大学, 環境健康科学研究教育センター, 特任講師 (80894972)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 胎児期曝露 / ADHD / 神経炎症 / POPs曝露 / 介在影響 |
Outline of Annual Research Achievements |
有機フッ素化合物(PFAS)やPCBに代表される残留性有機汚染物質(POPs)は、その長い半減期から環境中や人体へ長期間蓄積し、製造規制後の現在も生活環境中に存在する。母から胎児への移行率が高いことから胎児への健康影響が懸念されており、これまで胎児期POPs曝露と子供の神経行動発達の関連が多数報告されてきた。これまで注意欠如多動症(Attention-deficit/hyperactivity disorder;ADHD)の発症は遺伝的要因に加え、母の妊娠中の栄養状態・喫煙・ストレス、感染症、社会経済状況等の胎児期環境や早産が要因の一部を担うと推測されてきたが、それらの環境因子に共通する要因としてサイトカインの関与が疑われていた。 申請者らは近年、ADHD発症の機序として「胎児期の神経炎症」が提唱されていることから、本研究ではケースコントロールスタディで母児100組の母体血・臍帯血中サイトカイン濃度の測定を実施し、胎児期の内分泌攪乱作用を有する残留性有機汚染物質(POPs)曝露がもたらす児のADHD症状へ、POPsによる母児の炎症反応の介在影響を検討する。 令和3年度は、出生前向きコホート「環境と子どもの健康に関する北海道スタディ(以下、北海道スタディ)」にてADHD-Rating scale(ADHD-RS)を含む6歳調査票および8歳調査票の回収を行い、ADHD-RSスコアの集計とカットオフ値の設定を実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初、令和2年度までの調査票回収者からADHD傾向の児のグループとコントロールグループ(ADHD傾向の無い児)を抽出する予定であったが、ADHD傾向の児が少なかった。そのため、令和3年度にも調査票を送付・回収し、より大きいサンプルサイズからの対象者抽出を行うこととした。
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Strategy for Future Research Activity |
令和4年度以降は、ADHD-RS回答スコアからのカットオフ値を元に、ADHD傾向の児のグループとコントロールグループをそれぞれ母児50組、合計100組を対象とし、すでに採取・保存している妊娠中母体血と臍帯血からサイトカイン濃度を電気化学発光法(ECL:Electrochemiluminescence)にて測定する。
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Causes of Carryover |
当初の計画では、合計100組の母児を対象として行う妊娠中母体血中および臍帯血中のサイトカイン濃度測定を、年度をまたいで数回に渡り実施する予定であった。しかし、測定時期の違いにより、やむを得ず測定試薬、測定機械、測定方法が異なることが予想された。そのため、すべてのサンプルを一度に測定し、できるだけ測定時に結果に与える要因を取り除くことで安定したデータを取得するため、令和4年度以降にまとめて測定を実施することとした。
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Research Products
(2 results)