2022 Fiscal Year Research-status Report
凍結胚移植法によるART出生児の神経行動学的発達に及ぼす影響についての実証的研究
Project/Area Number |
21K10391
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
宮内 尚子 東北大学, 医学系研究科, 技術補佐員 (60596162)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 記緒 東北大学, 医学系研究科, 助教 (10803885) [Withdrawn]
小林 枝里 東北大学, 医学系研究科, 助教 (70634971)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 凍結胚移植 / 不妊治療 / 胎盤 / 低分子RNA(miRNA) |
Outline of Annual Research Achievements |
近年の生殖補助医療(ART)では、新鮮胚移植より凍結胚移植(FET)が主流となっている。FET法は、妊娠率の向上以外にも様々なメリットが報告されている。しかし、FET由来の出生児では、巨大児や癒着胎盤の頻度が高いと報告されており、児への安全性評価は未だ正確に行われていない。一方、エピジェネティックな分子機構として、胎盤の発育、成長に重要な役割を果たす胎盤特異的マイクロRNA(miRNA)の存在が知られている。このmiRNAは、21~25塩基の小分子RNAで、特定の遺伝子に結合することで、遺伝子の発現を抑制する。また、母体血中に胎盤特異的miRNAの存在が知られており、母体‐胎盤(胎児)間の子宮内環境を評価する上で重要なマーカーにもなる。本研究では、新鮮胚とFET由来の満期胎盤のmiRNAの発現量について網羅的解析を行い、比較した。その結果1)FET由来胎盤にユニークなmiRNAの発現が認められた2)ゲノムインプリンティング(GI)領域(C19MC)のmiRNAとDNAメチル化に影響が認められた3)有意な発現量の変化を認めた遺伝子の生物学的機能解析では、胎児、胎盤への成長に関与する遺伝子がリストアップされた4)パスウェイ解析より、2型糖尿病や様々な癌と関連する経路が明らかとなった。ARTによる凍結胚操作により、miRNAを含むエピゲノムに変異が生じ、エピゲノムにより遺伝子発現が調節されているGI遺伝子に変化がみられることが示された。今後、このエピゲノムの変化について、その影響が児の発育や発達にどのような影響をもたらすのかどうか、長期的なFollowが必要と思われた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今後、FETにおけるエピゲノム変化が出生児の発育や発達にどのような影響をもたらすのか、中長期的な調査が必要と思われる。そのため、大規模で長期間実施される疫学調査は、有益なものとなる。
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Strategy for Future Research Activity |
FET出生児の発育、神経行動学的な発達について、症例・対照研究手法を用い、両親の年齢、BMI、生活環境要因等の交絡因子について補正し、確実に検証する。また、FET出生児の胎盤について、有意差を認めるGI遺伝子のDNAメチル化とmiRNAは、ターゲットとなる遺伝子を予測し、出生児の健康リスクの要因となるかどうか検討を加えていく。
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Research Products
(1 results)