2023 Fiscal Year Annual Research Report
凍結胚移植法によるART出生児の神経行動学的発達に及ぼす影響についての実証的研究
Project/Area Number |
21K10391
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
宮内 尚子 東北大学, 医学系研究科, 技術補佐員 (60596162)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 記緒 東北大学, 医学系研究科, 助教 (10803885) [Withdrawn]
小林 枝里 東北大学, 医学系研究科, 助教 (70634971)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 凍結胚移植 / 不妊治療 / 胎盤 / 低分子RNA(miRNA) |
Outline of Annual Research Achievements |
自閉症、自閉症スペクトラム障害(ASD)または注意欠損多動性障害(ADHD)などの乳児発達障害は、遺伝的および環境的要因が発症に関与する多因子疾患と考えられている。また最近、生殖補助医療(ART)により出生した児では、自閉症や自閉症スペクトラム障害(ASD)などの精神発達に関する疾患の発症する頻度が高いことが報告されている。本研究では、まず大規模前向きコホート調査の結果を基に、ARTとASDの関連性について、交絡要因を補正し、より正確に評価することを目的とした。次に、凍結胚(FET)由来出生児の胎盤細胞において、ゲノムインプリント(GI)遺伝子のDNAメチル化の変化と低分子RNA(miRNA)の発現の違いから、FETの場合、ASDなどの疾患のリスク要因に関与するかどうか検討した。その結果、精神発達と密接な関係を示すmiRNAとして、miR-134-5P、miR-30d-5PがFET由来胎盤で有意な変異を認めた。また、FET由来の胎盤細胞を用いて、自閉症関連遺伝子(35遺伝子)(Schepici G at al. Brain Science 2019より抽出)の発現について解析した。その結果、著しく活性が低下する遺伝子(5種類)、活性が上昇する遺伝子(11種類)を確認した。これらの結果よりFETに由来する胎盤細胞と自閉症発症との関連性が示された。尚、本研究の成果は、直接的な証拠ではないため、引き続き縦断的な調査研究が必要であると示唆された。
|