2023 Fiscal Year Annual Research Report
猫ひっかき病のヒトへの感染予防に向けたネコワクチン・急性期診断・抗原バンクの開発
Project/Area Number |
21K10398
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
大津山 賢一郎 山口大学, 大学院医学系研究科, 講師 (10432741)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
常岡 英弘 山口大学, 大学院医学系研究科, 教授(特命) (40437629)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 猫ひっかき病 / ワクチン / ELISA |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は猫ひっかき病(CSD)患者血清と反応するCSD原因菌であるBartonela henselaeから抗原を同定することである。患者血清中のIgMのウエスタンブロット(WB)から10kDa付近、30kDa付近、42kDa付近、70kDa付近の4群が検出されることを報告している。なお健常人血清とのIgM-WBでは反応抗原はほとんどない。これまで30kDaの抗原同定に成功している。これら4群の中でも10kDa付近は約60%のCSD患者血清で検出されており、この抗原検出は非常に重要である。 まず、10kDa付近のSDS -PAGE銀染色ではブロードに検出される。またWBにおいても一部ブロードに検出される。そこでLPSの可能性を疑った。B. henselaeからLPS抽出キットを用いて銀染色およびIgM-WBを実施した。銀染色でLPS抽出後CSD患者血清でのIgM-WBの結果、反応を示すCSD患者血清はなく、LPSの可能性は否定的であった。しかしながら、LPS抽出が完全ではなかった可能性もあり、今後LPSについての解析も進める予定である。 一方、B. henselaeとCSD患者血清のIgM-WBで10kDa付近に検出される抗原の質量分析を行っている。1次元電気泳動によるため、その結果約100遺伝子の候補がある。その中でも検出頻度が高い遺伝子について無細胞蛋白質合成を行った。しかしながら、その遺伝子の蛋白質合成そのものができなかった。原因の一つとして、その遺伝子は予想に反して100kDaを超えており、大腸菌酵素を用いた無細胞蛋白質合成では限界があることが考えられた。 以上のことから、今後LPSのさらなる検討と新たに分子量の大きな遺伝子合成が可能なコムギ無細胞蛋白質合成を行うことが必要である。
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