2021 Fiscal Year Research-status Report
Mechanistic elucidation of chemopreventive effects of metformin through analyzing novel identified metformin-binding proteins
Project/Area Number |
21K10402
|
Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
飯泉 陽介 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (20533178)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 糖新生抑制タンパク質 / β-catenin / 結合タンパク質A / 結合タンパク質B / AMPK / mTORC1 / がん予防効果 |
Outline of Annual Research Achievements |
数々の疫学研究から糖尿病治療薬メトホルミンにがん予防効果が見出され期待されているが、がん予防効果の詳細な分子メカニズムに関しては、未だ明らかになっていない。本研究課題では、私達が同定したメトホルミンの新規結合タンパク質AとBに着目した分子生物学的・細胞生物学的解析により、がん予防効果の詳細な分子メカニズムを解明することを目的としている。 大腸がんの発生に大きく寄与しているWnt経路のβ-cateninを発現制御することが報告されている新規結合タンパク質Aに関して、結合タンパク質Aを同定した大腸がん細胞株HT-29を用いて解析を行った。β-cateninに関して複数の抗体を用いて検討したが、安定した発現量解析ができなかった。そこで他の大腸がん細胞株で検討し、安定してβ-cateninの発現量が解析できる大腸がん細胞株が見つかり解析を始めている。 糖新生抑制タンパク質の発現量を増加させることで糖新生を阻害することが示唆されている新規結合タンパク質Bに関しては、その機能を報告した論文で使われていたマウス正常肝細胞を用いて解析を行い、メトホルミン添加により糖新生抑制タンパク質が増加することが明らかになった。また、メトホルミンを固定化したナノ磁性ビーズを用いた解析により、マウスのタンパク質Bよりヒトのタンパク質Bの方に強くメトホルミンが結合する可能性が得られた。そこで、ヒト肝細胞癌の細胞株でも解析を行い、メトホルミン添加により同様に糖新生抑制タンパク質の発現量が上昇する傾向が得られた。さらに、メトホルミンの作用機序として良く知られているAMPKの活性化とmTORC1経路の阻害についても解析したところ、メトホルミンによる糖新生抑制タンパク質の増加は、AMPKの活性化と相関する傾向があった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
天然物フコキサンチノールが標的とするヒトタンパク質として同定したribosomal protein uS7について下記の論文を投稿し、そのリバイス実験および改訂に半年ほど時間がかかってしまい、本研究課題に充てる時間が大幅に減ってしまったため。
Iizumi Y., et al., Stabilization of CDK6 by ribosomal protein uS7, a target protein of the natural product fucoxanthinol. Communications Biology, in press.
|
Strategy for Future Research Activity |
結合タンパク質Aに関しては、新たに検討し始めた大腸がん細胞株において、メトホルミン添加によりβ-cateninの発現量が減少するか否かを検討する。そして、安定したβ-cateninの発現減少が確認された場合は、siRNAを用いて結合タンパク質Aの発現抑制を行い、β-cateninの発現が同様に減少するか否かを調べる。 結合タンパク質Bに関しては、メトホルミンにより糖新生抑制タンパク質が強く発現上昇する条件(時間、濃度など)を探索する。強く発現上昇した条件において、結合タンパク質Bの発現量の変化も調べる。また、siRNAを用いて結合タンパク質Bを発現抑制し、糖新生抑制タンパク質が減少するか否かを調べる。他に、メトホルミンによるAMPKの活性化とmTORC1経路の抑制との関連も調べる。さらに、結合タンパク質Bを発現抑制することで、メトホルミンによる糖新生抑制タンパク質の発現上昇が低下するか否かを検討する。
|