2022 Fiscal Year Research-status Report
Change of epidemic patterns of respiratory viruses under the COVID-19 pandemic in Japan
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21K10414
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
齋藤 玲子 新潟大学, 医歯学系, 教授 (30345524)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡部 久実 新潟大学, 医歯学総合研究科, 客員研究員 (50143756)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | RSウイルス / 流行変化 / 公衆衛生対応 / 気候 / 新型コロナウイルス感染症 / 全国調査 / ウイルス遺伝子解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和4年度には、各地の小児科(北海道・新潟・東京・三重・滋賀・奈良・山口・熊本・沖縄)から、RSウイルス迅速診断キット陽性の検体を収集し、日本各地のRSウイルス流行状況を調査した。2021年8月から2022年7月31日の間に(2021-2022シーズン)、合計260検体が収集された。A型114件(54.3%)、B型48件(22.9%)、陰性48件(22.9%)であり、新潟・滋賀・奈良・沖縄ではA型が優勢、東京はB型が優勢、北海道と山口ではA・B型がほぼ同頻度の流行だった。2022年8月~2023年3月31日の間に(2022-23シーズン)、合計126検体が収集された。初診時検体のうちA型が71件(72.4%)、B型が15件(15.3%)、陰性12件(12.2%)で、全国的にA型優勢であった。2022年の全国的なRSVの流行は、流行開始が前年の2021年より約3か月遅れたが、ピークは両年とも7月だった。2022年ピーク時の週当たり定点報告数は2.36件で、2021年ピーク時の5.99件と比べ半減していたため、2022年の方が小さな流行だった。沖縄県とその他の都道府県の流行時期について比較したところ、沖縄県では、2021年と2022年のどちらも8月に流行が始まり、10月にピークを迎え、2月に収束した。その他の都道府県では、2021年は6から8月に、2022年は7から9月にピークがみられ、2022年は2021年に比べて流行が約3か月流行が遅れていた。RSウイルスG蛋白エクトドメイン領域の遺伝子配列について、2シーズンの系統樹解析を行ったところ、A型はON1に属し、B型はBA9に属した。また2022-23シーズンは2021-2022シーズンの近縁株が流行していた。2022年に流行が小規模になった原因としては、2021年の大きな流行により免疫を持つ小児が増えたためと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
全国の小児科医に協力を依頼したRS ウイルス検体の収集に関しては予定通りで問題なく、各地から令和4年度は300件以上のRS ウイルス感染症疑いの検体が採取できた。昨年度より検体数が100件ほど少ないのは、令和4年度のRS流行が小さかったためである。 また、新潟大学において、これまでG蛋白300bpほどの短い領域のみシークエンスしていたが、アルゼンチンの研究者からプロトコールを共有してもらい、より長い800 bpのG蛋白領域をシークエンスすることができた。次世代シークエンスについては、当初予定していた方法がうまくいかなかったため、米国バンダービルト大学のグループからプロトコール供与をうけ、現在次世代シーケンス法の確立を試みている。
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Strategy for Future Research Activity |
令和4年度の検体採取調査の研究進捗は概ね順調であったため、令和5年度も引き続き全国の小児科医に依頼して RS ウイルスの検体採取を進め、各地でRS ウイルスがどのように流行したのか、地域的な相違を見る。令和4年度に着手した次世代シークエンスを用いたRSウイルスの全ゲノム解析手法を確立する。次世代シークエンスを行うことにより海外の株と日本の株の遺伝子的な差異を全長シークエンスでみることにより、日本の流行株がどのように海外から流入してきたのか、3年間で採取した検体を使って総合的に解析することができる。
疫学解析においては、2022年以降、ポストコロナ時代にRSウイルスが再流行した要因を解析する。国の感染症発生動向調査、国土交通省や観光局から入手した海外渡航・国内移動の交通情報、個人・社会的衛生行動の変化、気象条件などを加味して、新型コロナウイルス流行後にRSウイルスが一時的に減少した原因と、その後に逆に増加に転じた要因を見いだす。
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Causes of Carryover |
令和4年度に予定していたRS ウィルスの次世代シークエンスについては実験的方法が確立できなかったため実施できず消耗品費が低額の支出で済んだことから、翌年度に繰り越しが生じた。令和5年度は次世代シークエンスを実施予定である。
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Research Products
(3 results)