2022 Fiscal Year Research-status Report
Development and evaluation of immunochromatographic rapid diagnostic test to detect hepatitis B core-related antigen (HBcrAg RDT)
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21K10416
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
島川 祐輔 熊本大学, 国際先端医学研究機構, 客員教授 (10814692)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
馬場 理也 熊本大学, 国際先端医学研究機構, 准教授 (10347304)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | B型肝炎 / B型肝炎コア関連抗原 / 簡易迅速検査 / 妥当性評価 / アフリカ / グローバルヘルス |
Outline of Annual Research Achievements |
WHOが提唱するB型肝炎(HBV)の全世界的な排除(グローバル・エリミネーション)の実現には、HBV感染率の極めて高い低所得国においても、血中HBV DNA値の高いハイリスク感染者の同定と核酸アナログ治療の実施が重要である。しかしPCR法によるHBV DNA測定は高価で高い技術の習得を要し、低所得国では普及していない。我々は代替の血清マーカーとして、血中HBV DNA値と高い相関を認めるコア関連抗原(HBcrAg)に着目し、化学発光酵素免疫測定法(CLEIA)での測定値が高HBV DNA値の診断に有用であることを示した。本研究の目標は、途上国でも実施可能な測定法として、新たに富士レビオ社と共にイムノクロマトグラフィー法によるHBcrAg検出の簡易迅速検査を開発し、慢性HBV感染者の血液検体を用いその妥当性(感度・特異度)を検討することである。
初年度は、ガンビアのHBV感染者の保存血清を用い、新たに開発したHBcrAgの簡易迅速検査が、HBV DNA高値の診断に有用であることを認めた。2年目は、上記研究成果について、2022年6月の国際肝臓会議(ILC、ロンドン)にてポスター発表を行い、更にClinical Gastroenterology and Hepatology誌に原著論文として投稿、アクセプトされた。また、同じ検体を用いて、ガンビアのHBV感染者において日本発の肝線維化マーカー・Mac-2結合蛋白糖鎖修飾異性体(M2BPGi)が有用であることを示し、Journal of Global Health誌にアクセプトされた。また、カンボジア・カメルーン・ブルキナファソで収集したHBcrAgの簡易迅速検査の妥当性評価に関するデータの解析も終了し、2023年6月の国際肝臓会議(ILC、ウイーン)にてポスター発表を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度(2021年度)は、熊本大学消化器内科・田中靖人教授、IRCMS・馬場理也准教授、および富士レビオ社との共同研究体制を構築し、インペリアルカレッジ(英国)及びMRCガンビア研究所(ガンビア)が実施したPROLIFICAスタディの保存血清を用いた簡易迅速検査の臨床的妥当性の後ろ向き評価を完了した。WHOは、母子感染予防にあたり、出生直後の新生児へのB型肝炎ワクチン接種に加えて、高ウイルス量(HBV DNA >200,000 IU/ml)の慢性HBV感染妊婦への核酸アナログ投与を推奨しているが、ガンビア検体では特にこの高ウイルス量を診断するのに、当簡易迅速検査が高い感度・特異度を有することを認めた。ただし、ガンビアの研究では主に成人の慢性HBV感染者を対象としており、妊婦からのサンプルは含まれていない。
2年目(2022年度)は、カンボジア(カンボジア・パスツール研究所)およびカメルーン(アンジェ大学)にて慢性HBV感染妊婦より採取された保存血清を用いた、大規模な後ろ向きの妥当性評価が完了した。また、ブルキナファソでは、指尖部より得られた全血を直接、前処理液に滴下するという「現場」に適した方法で、前向きに妥当性評価を実施している。上記3か国におけるデータの解析(ブルキナファソについては検体採取は終了しておらず現時点での評価)はすでに終了しており、2023年6月に欧州肝臓学会(EASL)がウイーンで開催予定の国際肝臓会議(ILC)にて発表(ポスター)する予定である。また、エチオピアにおいても前向きの妥当性評価が開始している。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度は、2年目に実施された研究(カンボジア・カメルーン・ブルキナファソ)の論文化に加え、新たに開始したエチオピア、更に、新たな前向きの評価がコンゴ民主共和国、ガンビア、ブルキナファソ、ケニアにおいても開始予定である。これらの現場での評価を通して、最終的にはWHOによる事前認証・WHOガイドラインでの推奨を目指し、HBVの全世界的な排除(グローバル・エリミネーション)に貢献する。
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Causes of Carryover |
当初、最終年度に予定していたブルキナファソでの前向き評価の準備が整ったため、2022年度に予算の前倒しを希望し、許可された。現在、ブルキナファソ側と合意の最終段階にあり、今年度(2023年度)中に予算を執行予定である。
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