2021 Fiscal Year Research-status Report
Exploring the genetic marker of M. tuberculosis to predict the transmissibility and latency
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21K10433
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Research Institution | Kobe Institute of Health |
Principal Investigator |
岩本 朋忠 神戸市健康科学研究所, その他部局, 所長 (70416402)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 結核菌 / VNTR遺伝型別 / 全ゲノム解析 / 比較ゲノム / 分子疫学 |
Outline of Annual Research Achievements |
2004年から2022年1月までに得られた市内結核患者由来株4030株を対象に、下記1)、2)の条件に従って長期休眠型株と感染伝播拡大型株を選定し、以降の比較ゲノム解析(ゲノムワイド関連解析)のためのサンプルセットとした。 1)長期休眠後発病した菌株:2016年から2018年に培養陽性となった患者のうち、80歳以上で、かつ、2004~2022年分離株に同一遺伝子型別(VNTR法)の株が検出されなかった患者由来株を長期休眠型株とした。この条件に該当するものとして175株を抽出し、以降の比較ゲノム解析のための全ゲノム解析を実施中である。現在までに68株のゲノム解析を終了した。 2)感染伝播拡大株:4名以上の患者から同一遺伝子型別菌株が分離されたものを感染伝搬拡大型株とした。条件を満たした菌株は1063株あり、122の遺伝子型別に分類された。これら122の遺伝子型別を示す菌株から各1株を抽出し、以降の比較ゲノム解析のための全ゲノム解析を実施中である。現在までに20株のゲノム解析を終了した。 <長期休眠型株と感染伝播拡大型株の遺伝系統分布の比較> 北京型株と非北京型株の比率は長期休眠型で81%、感染伝播拡大型で80%であり、両者間に違いは認められなかった。一方、北京型株の亜系統群の比較では、STK, ST3, Modern typeで両者間に顕著な違いが認められた。STKとST3は長期休眠型で感染伝播拡大型よりも比率が高く、それぞれ、19% vs 4%、25% vs 17%であった。逆にModern typeは感染拡大型では26%であり、長期休眠型の14%に比べて高かった。STKとST3は国内土着型の遺伝系統であり、過去の結核高蔓延時代の影響が長期休眠型株に反映されているものと思われる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究の基盤となる群別化ができ、次年度以降のゲノム解析のためのサンプルセットが整ったが、新型コロナ感染症対応に追われたために、それらの次世代シーケンサーによる全ゲノム配列取得が予定通り進まなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
R4年度は、2群に分けたサンプルセットのリードデータの取得を集中的に行い、R5年度の比較ゲノム解析(ゲノムワイド関連解析)へと展開する。
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Causes of Carryover |
本年度は新型コロナ対応のため、当初予定していた頻度での次世代シーケンサーによる解析を行うことが出来なかった。物品費の多くをゲノム解析用に計上していたため、当年度での使用額が予定を大きく下回った。 また、新型コロナ感染症パンデミックのため、各種学会や研究会がweb開催となったため、旅費が発生しなかった。
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Research Products
(4 results)