2021 Fiscal Year Research-status Report
神経・血管バイオマーカーに焦点をあてた睡眠時呼吸障害者の綜合的疫学研究
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21K10481
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
川田 智之 日本医科大学, 大学院医学研究科, 大学院教授 (00224791)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
稲垣 弘文 日本医科大学, 医学部, 講師 (50213111)
大塚 俊昭 日本医科大学, 医学部, 准教授 (80339374)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | αシヌクレイン / 睡眠時無呼吸症 / 加齢 / 生物学的モニタリング / リスクアセスメント |
Outline of Annual Research Achievements |
血漿αシヌクレインおよび血清高分子量アディポネクチンを初年度測定予定であったが、コロナ蔓延に伴い睡眠時呼吸障害(SDB)検査実施者への血液検査に関する説明と同意が実施できなかったため、新たな対象設定による血漿αシヌクレイン測定、および代替検査項目を選択した。 まず、睡眠で休養が取れたかどうか問診で確認できた職域男性喫煙集団40名で、血漿αシヌクレインを測定した。血漿αシヌクレインは対数正規分布と考えられた。睡眠で休養が取れた群の幾何平均(幾何標準偏差)は、12.5 ng/mL (1.91)、睡眠で休養が取れなかった群の幾何平均(幾何標準偏差)は15.8 ng/mL (2.25)であった。両群間の平均値に有意差は見られなかった。また、加齢に伴う血漿αシヌクレイン値について、この集団では一定の傾向は見られなかった。50 ng/mLを超えた2名の体格指数(BMI)は、30歳18および49歳26.7であった。 次に、生理機器(LS-140,フクダ電子製)を用いてSDB検査を実施した143例に対して、無呼吸低呼吸指数(AHI)を算出した。AHIでSDB重症度を分類すると、異常なし(AHI<5)43人30.1%、軽度SDB(5<=AHI<15)59人41.3%、中等度SDB(15<=AHI<30)31人21.7%、重度SDB(AHI>=30)10人7.0%であった。また、心負荷バイオマーカーである血清NT-proBNP(N-terminal pro B-type natriuretic peptide)測定を一部の対象者に実施した。NT-proBNP値の幾何平均(幾何SD)は、異常なし24.9pg/mL(2.4)、軽度SDB40.2pg/mL(2.8)、中等度SDB34.5pg/mL(2.9)、重度SDB23.3pg/mL(2.6)で、SDB重症度との関連性は認めなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ感染症蔓延の影響で、当初予定していた研究フィールドでの質問紙調査、および血液検体採取に関わる説明と同意の実施ができなかった。代わりに、過去の疫学調査データ、および検査同意の得られている付随血液サンプルを用いた血漿αシヌクレイン測定を実施した。本来の対象者から得られる生理学的無呼吸指標とのリンクがかなわず、問診による睡眠関連指標を代替的に活用した。従って、生理学的無呼吸指標と血液サンプルデータとの関連性も、当初の血漿αシヌクレインが測定できず、代替のバイオマーカー測定になってしまい、得られた研究成果も制約の大きなものとなっている。しかしながら、今後の感染状況を勘案しつつ、調査の進捗を図るため、鋭意努力したい。また、文献調査を詳細に進め、結果の解釈を妥当なものにできるよう、研究を進める予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度の進捗状況にも記載したが、今年度もコロナ感染状況を見ながら、可能なかぎり、当初の研究計画に近づけるよう、努力したい。小サンプルではあるが、初年度、市販ELISAキットを用いた血漿αシヌクレイン測定が滞りなく実施できた点を踏まえ、より対象集団を拡張して、基本特性との関連性も検討しつつ、睡眠と血漿αシヌクレイン濃度との関連性を評価する予定である。現時点では、明確な今後の研究推進方策を提示できないのは残念ではあるが、睡眠時呼吸障害は様々な代謝性共存疾患の要因となりうるので、対象者の問診情報から、いくつかの典型的な事例提示も検討したい。
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Causes of Carryover |
当初予定していた調査の縮小に伴い、経費が予定額を下回ったため、執行予定であった額の4%未満ではあるが次年度に繰り越す結果となった。その額と併せて今後の調査研究を実施予定である。より多くの対象者の血漿αシヌクレインを測定し、また生理学的手法によりSDB重症度を決めるAHI算出データを入手したいと考える。
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