2021 Fiscal Year Research-status Report
大豆イソフラボン代謝物と早期腎障害に着目した慢性腎臓病に関する地域疫学研究
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21K10484
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Research Institution | Hyogo Medical University |
Principal Investigator |
久保田 芳美 兵庫医科大学, 医学部, 講師 (60403317)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 慢性腎臓病 / 早期腎障害 / 大豆イソフラボン |
Outline of Annual Research Achievements |
篠山研究の対象者において、生活習慣要因と腎機能予後との関連を調べるために、特定健診結果と郵送および対面による服薬状況および動脈硬化性疾患の発症に関するアンケートにを用いた追跡調査を実施した。追跡調査の対象者におけるベースライン時点すなわち40歳から64歳時点での推定糸球体濾過能(eGFR)と尿蛋白陽性で判断した慢性腎臓病の頻度は、男性の非肥満群では10.9%および肥満群で22.0%、同様に女性では11.4%、9.9%であった。慢性腎臓病の重症度分のGFR区分は男女とも94%がeGFR≧45 mL/分/1.73 m2のG3a(軽度~中等度低下)であった。一方で尿蛋白が陰性ならば正常と判断されるeGFR≧90 mL/分/1.73 m2の高値の群が男性12.9%、女性11.9%存在し、予後を分類して観察する必要がある。高血圧、脂質異常、糖代謝異常の該当数を代謝性危険因子保有数として、血清尿酸値との関連を検討したところ、男性における血清尿酸値の最高4分位は≧7.0 mg/dL、女性では≧5.4mg/dLであったが、男女とも非肥満群で代謝性危険因子保有数と尿酸高値が強く関連した。神戸研究では、腎機能と関連する骨代謝について、40歳から74歳の骨密度正常域の女性において、≧20メッツ・時/月の運動により≦19メッツ・時/月の群よりも6年後の骨量減少リスクが有意に低かったこと、40歳から74歳の男女において、推定食塩摂取量≧10g/日かつ塩味味覚低下群では推定食塩摂取量<10g/日かつ塩味味覚正常域群と比べ8年後のeGFR平均低下速度が早かったことなどを報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
感染症拡大防止の観点から、健診会場における生理学検査を控える状況が続いたため、特定健診結果以外の生理学検査の結果が得られない状況となった。この状況を受け、当初の予定よりも今年度の追跡調査の対象者の範囲を拡げたところ、予想外に郵送調査関係に労力を割くことになった。また、検体分析に先立ち、既存データにて生活習慣に関する解析を行ったところ、血中脂質についての知見が得られたため、検体測定の対象者の条件の再設定を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
篠山研究においては、今年度の対象ではなかったグループすなわちベースライン調査から5年経過となる者を対象として、追跡調査を継続する。このグループに関しては、既存データにより食事および身体活動についての生活習慣要因と動脈硬化指標および腎機能や早期腎障害指標についての解析が可能であるため、横断および縦断にて引き続き検討を行う。さらに対象者の条件設定の上、収集済みの凍結検体中の大豆イソフラボン代謝物の測定を行う。感染症流行の収束がみとめられた場合、現地調査による動脈硬化指標の測定を計画している。神戸研究においても、食事および身体活動の特性の違いを考慮し同様の検討を行う。
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Causes of Carryover |
既存データの解析結果を受け、検体測定の該当者の設定を再検討し、検体測定の時期が次年度となった。収集済み検体の大豆イソフラボン代謝物濃度測定に充てる。
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Research Products
(4 results)