2023 Fiscal Year Research-status Report
大豆イソフラボン代謝物と早期腎障害に着目した慢性腎臓病に関する地域疫学研究
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21K10484
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Research Institution | Hyogo Medical University |
Principal Investigator |
久保田 芳美 兵庫医科大学, 医学部, 講師 (60403317)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 慢性腎臓病 / 早期動脈硬化指標 / 早期腎障害 |
Outline of Annual Research Achievements |
生活習慣要因特に食事要因と腎機能低下と強く関連する動脈硬化の予後との関連を調べるために、篠山研究のベースラインとしての調査から6年以上経過した、46歳から70歳の者を対象とした追跡調査として、早期動脈硬化指標である心臓足首血管指数(CAVI)および上下肢動脈収縮期血圧比(ABI)の測定を実施した。CAVI値が9.0以上の動脈硬化疑いの者の割合は、男性ではベースライン時15.9%、2023年度23.2%であった。同様に女性では10.5%、18.5%であった。またABI値0.99以下の下肢動脈狭窄疑いの者の割合は、男性ではベースライン時2.9%、2023年度8.7%であった。同様に女性では12.8%、18.6%であった。神戸研究においては、腎機能と関連がみとめられた生体インピーダンス法による内臓脂肪面積の測定や塩味味覚検査などを、53歳から85歳の者を対象に、追跡調査として実施した。篠山研究では、男性において血清尿酸高値群(上位25%: 7.0mg/dL以上)では、尿酸低値かつ(6.9mg/dL以下)肥満なし群と比較し、推定糸球体濾過能と尿蛋白で判断した慢性腎臓病(CKD)の多変量調整オッズ比が、肥満なし群で4.6倍、肥満あり群で4.8倍と有意に高く、女性でも血清尿酸正常高値(上位25%: 5.4 mg/dL以上)かつ肥満なし群でCKDの多変量調整オッズ比が1.9倍と有意に高かった。この結果より、尿酸塩が析出するレベルではなくても、血清尿酸値が高いことで、BMIと腹囲で判断した肥満の有無に関わらず、慢性腎臓病のリスクが高まる可能性を報告した。神戸研究では、塩分摂取量と野菜・果物摂取量の指標となる尿中ナトリウム/カリウム比の上昇が新規の高血圧の発症に関連したことなどを報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当該年度は調査自体は順調であったが、予算の都合上、生理検査のCAVI、ABI測定を優先し、血液や尿検査による評価を行わなかったため、評価指標が少なくなった。神戸研究では検体は収集したが、今年度の測定はできなかった。次年度に追跡調査を兼ねて血液や尿検査による評価を行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度測定したCAVI値、ABI値、特定健診の結果を用い、ベースライン時のイソフラボン代謝物の測定結果および食習慣アンケートの回答との関連を分析する。特定健診の結果で血清クレアチニンを用いた腎機能の評価は可能である。また次年度の調査において追跡調査を兼ねた検査にて血液や尿検査による詳細な腎機能関連の評価を行う予定である。凍結検体の測定も行う。
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Causes of Carryover |
今年度、追跡調査において、生理検査に加えて血液・尿検査の項目による評価を行う計画の場合、本課題のみでは予算が不足していたが、生理検査のみでは予算の残額が生じた。 次年度として、本課題に研究内容が関連する科学研究費が内定したため、次年度は、本課題と関連課題の予算を合わせて、追跡調査を兼ねる血液・尿検査を再開する。
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[Presentation] 健康な一般集団における6年間のNa/K比推移区分別の特徴:神戸研究2024
Author(s)
川原瑞希, 月野木ルミ, 宮松直美, 久保佐智美, 久保田芳美, 東山綾, 平田あや, 桑原和代, 清原麻衣子, 杉山大典, 岡村 智教.
Organizer
日本疫学会学術総会
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[Presentation] 都市住民における睡眠時間と脂質との関連 神戸研究.2023
Author(s)
川田陽子, 平田あや, 桑原和代, 佐田みずき, 宮嵜潤二, 久保田芳美, 久保佐智美, 平田匠, 東山綾, 門田文, 杉山大典, 西川智文, 宮松直美, 宮本恵宏, 岡村智教.
Organizer
第55回日本動脈硬化学会学術集会