2023 Fiscal Year Research-status Report
The COVID-19 pandemic and mental health among families with small children: a cohort study
Project/Area Number |
21K10490
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
村上 慶子 東北大学, 東北メディカル・メガバンク機構, 非常勤講師 (40709200)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | 新型コロナウイルス感染症 / メンタルヘルス / 子育て世帯 / コホート研究 / 社会疫学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、就学前後の児と母親・父親を対象に、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行前から流行開始直後および数年後にわたるメンタルヘルスの推移、その推移に関連する要因を明らかにすることを目的としている。 「三世代コホート調査」では、参加者のメンタルヘルスを同一尺度で継続的に測定している。また、東北大学東北メディカル・メガバンク機構地域支援センターで健康調査を受診するコホート参加者を対象とした調査票に、COVID-19による生活の変化に関する項目を組み込み、回収を進めている。 2022年度末までに収集されたデータを用いて、COVID-19による生活の変化、およびその生活変化とメンタルヘルスの関連を検討した。その結果、児の父親と比較して児の母親のほうが、睡眠・運動・食事・体重といった生活・活動がCOVID-19流行前後で悪化した割合が高かった。人との接触回数の減少、外出自粛要請や家族・友人関係の変化によるストレス、そして病院受診・服薬の中断も、児の父親と比較して児の母親のほうが高い割合であった。以上より、生活全般において児の母親のほうがCOVID-19流行による影響を受けている可能性が示唆されたといえる。また、上記の生活の変化に関する項目は、概してK6およびCES-Dで測定したメンタルヘルスと関連していることも明らかになった。 COVID-19流行とメンタルヘルスに関する文献のレビューも子育て世帯を対象としたものを中心に引き続き行っており、本研究結果との類似点・相違点等を抽出し、考察を進めている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Webまたは郵送調査での児のメンタルヘルス測定、および地域支援センターでの健康調査・調査票の回収は概ね順調である。母親の社会的孤立と児の発達に関する論文は、前年度の報告書で査読中と報告していたが、2023年度に国際学術誌に受理された。 東北メディカル・メガバンク機構から他機関に出向中のため研究に割ける時間が限られているが、無理のない範囲でスケジュールを見直し、データ整備・分析・論文執筆等を進めている。
|
Strategy for Future Research Activity |
Webまたは郵送調査でのメンタルヘルスの測定、COVID-19による生活の変化の項目を含んだ調査票の回収を2024年度も継続していく。 現在データ分析中の内容を英語論文としてまとめて国際学術誌に投稿するとともに、2023年度・2024年度に収集されたデータも追加して、より長期的な影響を明らかにすることを目標とする。COVID-19流行前後におけるメンタルヘルス変化のみならず、2023年5月の5類感染症への移行前後におけるメンタルヘルス変化の検討も予定している。
|
Causes of Carryover |
当初の計画では2023年度に国際学会での発表を含めていたが、他機関への出向により参加を見送ったため、次年度使用が生じた。世界中で流行が確認されたCOVID-19に関する研究課題のため、2024年度以降は国際学会で発表できるよう検討を進めていく。
|