2021 Fiscal Year Research-status Report
小中学生の摂取脂肪酸・アミノ酸の組成データ解析による健康リスクとの関連評価
Project/Area Number |
21K10497
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
奥田 昌之 山口大学, 大学院創成科学研究科, 教授 (50274171)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 健康リスク / 心血管疾患リスク / 小学生 / 中学生 / 栄養バランス / インスリン / 血清 |
Outline of Annual Research Achievements |
食事バランスの評価は、主に主成分分析あるいは因子分析、食事指標によるスコア化で行われてきた。主成分分析で行われた論文をレビューし、主成分分析の方法について文献考察を行った。食事調査では、1980年頃から主成分分析が用いられているが、ほとんどが数個から40個の食品群間の相関係数を用いており、食品群の摂取量は考慮されていなかった。食品群摂取量を全体摂取量の割合としてログ比を用いて行う研究はなかった。割合のログ比を用いて主成分分析をする方法が気象学、鉱物学で用いられており、栄養学にも応用できそうであることがわかった。 食事指標によるスコア化については、小学生、中学生の食事調査のデータを日本の食事バランスガイドのスコアに用いた。食事バランスガイドでは主食、副菜、主菜、乳類、果物の摂取の範囲が示されているが、この範囲の入っていることよりも、範囲の下限を下回らないようにすることが、心血管疾患リスクが低いことと関連していた。食事バランスガイドでは小中学生にとっての適切な栄養バランスを十分に表現できていないことがわかった。この結果は論文として公表した。割合のログ比としての組成データ分析を試みる価値がありそうであると考えた。 小学生、中学生の健康アウトカムとして、血液検査データを利用して、栄養バランスを評価するための最初の段階として、保存試料の分析を試みている。13年間-80℃で凍結保存していた血清試料で、インスリン、フェリチン、トランスフェリン、高感度CRPを分析した。今年度324検体を分析し、9検体不足、1検体溶血であった。採取から5年以内に分析した試料と比較して、インスリン濃度、高感度CRP濃度、フェリチンの濃度に大きな違いはなく、保存に問題がなかったと判断し、今後の分析を進めることとした。血清分析は外部に委託しているが、今回の分析した試料件数で1か月間を要した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の本年度の予定は、保存血清試料の分析であった。分析数は予定よりも少なかったが、問題なく分析できた。また次年度以降のデータ解析に活かせるようなデータ解析方法についての文献的検討ができた。よっておおむね順調に進展しているとした。
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Strategy for Future Research Activity |
小学生、中学生の栄養バランスと健康リスクとの関連を調べるための健康アウトカムとして、凍結保存している残りの血清試料の分析を進め、結果を集計する。分析項目は、インスリン、フェリチン、トランスフェリン、高感度CRPとし、変更は予定していない。分析試料数は、本年度の1.5倍を予定する。分析のかかる期間を考慮して、分析のスケジュールを決定する。 データ分析については、既存の小学生・中学生のデータや利用可能な成人のデータを用いて、全食品について、全摂取量に占める割合を用いてログ比を用いた主成分析を行い、心血管疾患リスクとの関連を検討する。データ解析の結果は論文等に公表できるように努める。
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Causes of Carryover |
血清試料分析に用いる予定であった。外部委託の業者の負担と、分析に時間がかかり、予定していた半分程度となった。次年度は、分析の時間を考慮してスケジューリングし、本年度の約1.5倍の試料件数を分析する。
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