2023 Fiscal Year Research-status Report
小中学生の摂取脂肪酸・アミノ酸の組成データ解析による健康リスクとの関連評価
Project/Area Number |
21K10497
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
奥田 昌之 山口大学, 大学院創成科学研究科, 教授 (50274171)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 摂取アミノ酸 / ロイシン / イソロイシン / メチオニン / 糖代謝 / 中学生 / 小児 / 組成成分 |
Outline of Annual Research Achievements |
アミノ酸の摂取量はたんぱく質摂取量中の構成割合で示すと、個々のアミノ酸摂取は互いに相補的である。中学生のアミノ酸摂取量をその構成成分で評価し、代謝リスクとの関係を明らかにすることを目的とした。この研究では既存の試料を用い、保存血清からインスリン分析を追加して、糖代謝マーカーとの関係を明らかにした。中学生データ3254人のうち、血清インスリン分析を行えたのは1447人であり、欠損がなく、質問票回答が妥当で、既往疾患のないデータは1238人であった。この研究参加者のアミノ酸摂取量は、グルタミン酸が最も多く(19%)、アスパラギン酸(9%)、ロイシン(8%)、イソロイシン(7%)と続いた。摂取アミノ酸量を他のアミノ酸との等尺対数比で表現する組成成分にした。空腹時血糖、インスリン、恒常性モデル評価(インスリン抵抗性、β細胞機能)を従属変数とし、交絡因子を調整して摂取アミノ酸との線形回帰分析を行った。空腹時血糖のみのモデルでロイシン摂取量は負の関係を示した。ロイシン以外のアミノ酸をロイシンと全アミノ酸量の0.1%分置き換えた時、あるいはイソロイシン、メチオニンをロイシンと全アミノ酸量の0.1%分置き換えた時、低い血糖と関係した。ロイシンをイソロイシン、メチオニンに置き換えた時は逆に高い血糖と関係した。これらの結果は、これまで単独の摂取アミノ酸と糖代謝マーカーとの関係に関する論文の一部は一致するが、すべて一致しているわけではない。とくに分枝鎖アミノ酸(イソロイシン、ロイシン、バリン)を一括りにして解析する方法が最も良い方法ではないことを示唆した。栄養素摂取は、体重変化がほとんどない恒常的な状態を仮定するので、組成割合で考慮することが多い。栄養学の分野でこの方法をもっと活用できるだろう。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初期計画の通り、令和5年度までに試料の分析、データの解析、論文の公表ができた。予算もすべて消化した。論文の公表は令和5年度中にできない危惧もあり、論文投稿中に令和6年度の延長を申請した。結果を得て、論文公表を終えたので、計画通りに進展したと判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
令和5年度までの研究実施は計画通りに進み、論文公表も終え、予算をすべて消化した。論文公表が遅れる可能性があり令和6年度延長申請を行った。最初の計画になかったが、令和6年度は組成分析では多重検定の問題があることについて検討する。前年までに懸念であったこの問題についての解決方法の提案として、部分的最小二乗回帰を試してみる。現在のところ、最小二乗回帰では想定していない関係性が現れそうである。その解析方法の特徴とは違って、摂取量の多いアミノ酸の影響が強い。解析の方法の間違いなどがある可能性があるので、詳細に検討してみる予定である。
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