2021 Fiscal Year Research-status Report
不要不急な救急事案が救急搬送に与える影響とその時間的・地域的要因の分析
Project/Area Number |
21K10501
|
Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
木村 義成 大阪市立大学, 大学院文学研究科, 准教授 (20570641)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 啓雅 大阪市立大学, 大学院医学研究科, 准教授 (20509723)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 救急搬送 / 不搬送事案 / 時空間分析 / 地理情報システム / 大阪市 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、①.大阪市消防局がもつ救急覚知データを用いて、不搬送事案が重症・中等症の現場到着や救急隊活動に与えた事案数と、不搬送事案が生じる時間的要因や地域的要因を明らかにし、②.その結果を大阪市消防局や総務省消防庁、および学術誌に報告することにより、不要不急な救急要請を減らす学術的な根拠を与えることである。 本研究の目的を達成するために、不搬送事案の発生には地域差があるのか、地域住民の社会的背景が関係しているのか、社会的な要因や不搬送多発地域の地理的特性を明らかにする。また、患者や患者家族による「搬送許否」や覚知現場に傷病者がいない「傷病者無し」では、救急隊の活動時間に与える影響が異なる可能性があり、不搬送事案の種別ごとに他の事案の現着時間に与える影響を明らかにする。 当該科研の初年度である今年度は、不搬送事案を含めた大阪市内における救急搬送データを整備し、時空間的分析の準備を実施することである。大阪市消防局と救急搬送データの受領に関する覚書を締結し、新型コロナ禍の影響を受けていない2015~2019年に大阪市内で覚知された救急搬送データを整備した。また、カーナビゲーションシステムで利用される道路ネットワークを用いて救急隊が最短時間で到達できる範囲を大阪市内に配置されている救急隊配置ごとにGISを用いて作成した。 データ整備に時間を要したため今年度は本研究課題に関する学会発表を実施できなかった点は反省点である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該科研の初年度である今年度は救急搬送データの整備と予備分析を実施した。大阪市消防局と救急搬送データに関する覚書を締結し、データの受領を行った点、救急搬送データの電子地図上での展開が終わった点、道路ネットワークデータを用いた不搬送事案を分析するための救急隊最近接地域の作成を行った点から研究計画通りの進捗状況とした。
|
Strategy for Future Research Activity |
今年度整備したデータをもとに、不搬送事案(拒否・傷病者無し・酩酊・誤報)および同時間帯に発生した重症・中等症の救急事案を抽出し分析対象とする。不要不急の救急要請である不搬送事案が、重症・中等症事案に対して与えた事案数を大阪市内に配置されている救急隊ごとに明らかにする。研究代表者が不搬送事案を引き起こした救急要請者の年齢、性別、時間や曜日は大阪市消防局の救急データベースから、地域住民の就業状態・家族構成・経済的状態などの地域特性は国勢調査から情報を入手することにより、どのような社会属性や地域特性を持つ地域が、不搬送事案が重症・中等症事案に影響を与えているか、研究分担者ともに明らかにする。
|
Causes of Carryover |
学会がオンライン開催となったことにより国内旅費が執行されなかったため
|