2022 Fiscal Year Research-status Report
心房細動患者に対する抗凝固療法による消化管出血性合併症の臨床像と重症度同定
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21K10504
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
植田 育子 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 特任助教 (80571398)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
白石 泰之 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 特任助教 (00752700)
香坂 俊 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師 (30528659)
細江 直樹 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 准教授 (90317131)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 心房細動 / 抗凝固療法 / 新規経口抗凝固薬 / 消化管出血 |
Outline of Annual Research Achievements |
心房細動の抗凝固療法は、脳卒中抑制効果と出血性合併症の安全性が証明されている新規経口抗凝固薬 (DOAC) が世界的に主流となってきている。我が国では DOACを服用した心房細動患者の消化管出血発症率は年間 1.9% と高頻度であることが報告されているに留まり、本合併症発症時における薬剤の休薬・再開基準に おいては、さらなる実臨床での検証が急務であるとされている。本研究では、申請者自らが構築してきたレジストリシステムを発展的に活用し、日本人患者にお ける抗凝固療法中の消化管出血の頻度、特徴、さらに出血イベントの予後に関する検証を行う。具体的には1)抗凝固療法中の消化管出血発症頻度を部位別(上 部・小腸・下部)に算出。2)抗凝固療法中の上部・下部消化管出血、並びに小腸出血の臨床的特徴を記載。3)消化管出血イベント発症後におけるDOACの治療 状況を含めた予後を算出。 本邦での心房細動患者の出血性合併症に関連したエビデンスが少ない理由として、該当症例やイベントの発生が稀であり統計学的処理に耐えうる大規模な前向き 患者データを確保し難い背景がある。本研究では、抗凝固療法中の心房細動患者を対象とした既存データベースであるKiCS-AFを活用し、本プロジェクトを完遂 させる計画である。KiCS-AFデータベースでは、既に約3,000例の登録が完了しており登録から5年間の予後を追跡している。 こうした検証はエビデンスに基づいた治療の実施に貢献し、より安全性の高い心房細動治療へ道を開くものと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究対象者となる「消化管出血イベント」を発症した症例(候補者)を集めているところである。具体的には、今回のプロジェクトで用いるデータベース[KiCS-AFレジストリ]の登録から5年間の追跡調査が2023年5月で完遂する予定である。本プロジェクトのデータ収集もその際に開始予定であり計画通りである。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度は上半期でデータ収集を行い、今年度中に解析まで実施予定である。
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Causes of Carryover |
本研究の情報収集をするために、昨年度は本テーマと同一分野の学術集会に参加し経費をかけることなく研究の準備が可能であった。2023年度は登録業務が可能となるよう事務局要員を雇用する予定があり、今まで貯えた資金を使用する計画である。その他、システム改修にも支払い予定がある。
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