2022 Fiscal Year Research-status Report
Proteomic Signatures for Osteosarcopenia
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21K10505
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
大澤 祐介 慶應義塾大学, 健康マネジメント研究科(藤沢), 准教授 (20621204)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 骨密度 / 骨格筋量 / 筋力 / 国際比較 / 老化 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度は、本研究課題の1つである、長期間の縦断データに基づく骨密度および筋肉量の経時的な相互関係を検討した。本研究課題を計画した際には、米国の前向きコホート研究であるBaltimore Longitudinal Study of Aging(BLSA)のみで検討する予定だったが、人種や生活習慣など異なる背景の対象者においても同様の結果が得られるのかを検討するため、国立長寿医療研究センターが実施するNILS-LSAのデータを使用して国際比較を行った。本研究はBLSA対象者のうち1,129名の65歳以上男女(平均年齢74.5±7.5歳、女性49.8%)、NILS-LSA対象者のうち1,998名の65歳以上男女(平均年齢70.0±4.5歳、女性51.4%)を対象とした。追跡期間(中央値(最小-最大値))はBLSA4.6(0-15.4)年、NILS-LSAでは4.0(0-13.4)年だった。DXA法で骨密度(全身・骨盤・大腿骨頸部・大転子部・Ward三角部)および四肢骨格筋量を評価した。骨密度の測定部位ごとに、骨密度と四肢骨格筋量の縦断的関連をbivariate linear mixed-effect modelを用いて検討した。 BLSAでは、四肢骨格筋量と全身骨密度(rho=0.30, p<0.0001)及び骨盤の骨密度 (rho=0.24, p<0.0001)の変化が関連し、NILS-LSAでは、全部位の骨密度と関連した (rho 0.20~ 0.71, p<0.01)。また、性別でみたとき、両コホートに共通して、男性と比較して女性のほうが両者の関連を認める傾向にあった。本研究の結果、骨格筋量の低下と骨密度の低下は同時に起こることが示されたが、日本人を対象にしたコホート研究からの結果のほうが米国コホート研究からの結果と比較して関連が強い傾向にあった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題を計画した際には、骨格筋量と骨密度の経時的変化の関連性を検討する上で、米国の前向きコホート研究であるBaltimore Longitudinal Study of Aging(BLSA)のみで検討する予定だった。しかし、人種や生活習慣など異なる背景の対象者においても同様の結果が得られるのかを検討するため、国立長寿医療研究センターが実施するNILS-LSAのデータを使用して国際比較を実施することができた。国際比較をすることを通じて、研究計画立案時に仮説としてあった性差だけでなく、人種や生活習慣の違いを含めて検討することができた。また、両者の関連性について日米の前向きコホート研究のデータを使用して妥当性を検討したことによって、本研究の結果がより頑健なものであることを示すことができたと考える。 また、海外渡航制限緩和に伴い、米国National Institute on Aging(NIA)に2週間訪問してNIAが取り組むBLSAのデータ解析および次年度に取り組む予定の研究内容と研究データの予備的な解析に取り組むことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度は、以下の2つの研究課題に取り組む予定である。1つ目は、オステオサルコペニアに関わるバイオマーカーの探索をイタリアの前向きコホート研究InCHANTI研究を用いて取り組む。また、本研究で得られた結果が他の集団においても同様の結果が得られるかを検証するため、米国BLSA研究のデータを用いて検討を行う。2021年度から2022年度にかけて、上記の研究課題に取り組んできたものの、一般線形モデルまたは一般混合モデルを使用した場合には有力なバイオマーカーを見い出すことが出来なかった。2023年度は、近年注目を集めている機械学習法の解析方法を使用することを予定して、有力なバイオマーカーを探索することを予定している。また、有力バイオマーカーを同定できた場合には、米国BLSAデータを用いて妥当性を検討する予定である。
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Causes of Carryover |
研究計画当初は2021年度に米国National Institute on Aging(NIA)に訪問する予定だったが、コロナ禍という状況を鑑み、訪問計画について変更を余儀なくされた。その分の研究助成金については、2022年度と同様に2023年度に米国NIAへの訪問をすることを予定している。
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