2021 Fiscal Year Research-status Report
一歩踏み込んだSTR検査:近接するSNPとの同時検査法の開発
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21K10515
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
大内 司 東北大学, 医学系研究科, 技術一般職員 (90712266)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 個人識別 / SNP-STR / Compound marker |
Outline of Annual Research Achievements |
法医実務ではShort Tandem Repeat(STR)の塩基長を指標としたキャピラリー電気泳動によるSTR検査が広く行われているが、塩基配列それ自体の情報が扱われていない点に改良の余地がある。これまでに我々は次世代シーケンサーを用いて322人分の日本人由来の試料からSTR内の塩基配列及びSTR外の一塩基多型(Single Nucleotide Polymorphism;SNP)の情報を集約し、従来の塩基長による型判定に比べて多型性が増す遺伝子座を明らかにした。 この情報を実務で広く活用するには各検査施設に次世代シーケンサーを設置して運用することが挙げられるが、装置や専用の試薬が高額であることや実試料に対する検証実験が十分でないこと等から現時点においておよそ現実的ではない。 本研究は次世代シーケンサーに頼ることなく各検査施設で上記情報の活用を実現することを目的とし、キャピラリー電気泳動によるSNPとSTRの同時検出法の構築を試みている。本研究で対象とするのはSTRに隣接するSNPの存在が認められた8座位(D13S317、D16S539、D1S1656、D2S441、D3S4529、D5S2800、D5S818、D7S820及びvWA)であり、このうち4座位(D1S1656、D16S539、D5S818、D7S820)は中国人を対象に行われた先行研究で重複が認められている。今年度はこの4座位を契機として反応系の構築を行った。 結果として、D5S818及びD7S820の2座位で型判定が可能であった。一方、その他の2座位(D1S1656、D16S539)では増幅産物が得られなかったため、プライマーの再設計やPCRに用いる酵素の変更等、反応条件を見直す必要があった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
解析装置の老朽化に際し、今年度新たに解析装置を導入することとなった。それに加えて、新装置の検出色素に合わせてプライマー標識の設計を見直したこともあり、進歩状況に若干の遅れが生じた。 なお、新旧の解析装置の検出原理自体に違いはないことから、研究方針に変更は生じない。
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Strategy for Future Research Activity |
既に新装置の設置が完了したことから、現在は同装置を用いた検討を開始している。解析ソフトの設定を行った後、現在検討中の4座位について増幅から検出まで適正に行えるシステムの構築を目指す。その後、残りの5座位を追加して検討を行う。
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Causes of Carryover |
解析装置の老朽化に際し、今年度新たに解析装置を導入した。そのため、新装置専用の試薬・消耗品の購入や同装置に合わせた反応系の構築の必要が生じたため予算を次年度へ繰り越すこととなった。 繰り越した予算の用途に大きな変更はなく、研究に必要な試薬・消耗品の購入に充てる予定である。
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