2022 Fiscal Year Research-status Report
監察医機関における熱中症解剖例の分子診断・病態解明、背景分析に関する研究
Project/Area Number |
21K10522
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
吉澤 秀憲 大阪大学, 医学部附属病院, 医員 (90739905)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 謙一 東京医科大学, 医学部, 兼任教授 (40166947)
前田 秀将 東京医科大学, 医学部, 准教授 (60407963)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 代謝異常 / 異常環境温 |
Outline of Annual Research Achievements |
過去3年間の致死的熱中症解剖事例(全て非労作性)10例について、解剖・組織・血液生化学検査所見を検討し、ケトアシドーシスを7例に認めた。ケトアシドーシスは、総ケトン体1000 μmol/L 以上とした(平均値=2128μmol/L、n=7)であった。血中クレアチニンとBUNが大多数の事例で上昇していた。ミオグロビン尿を調べた7例全例に認めた。3事例は、糖尿病と関連しており、その他の事例は、虚血性心疾患、慢性心不全、アルコール依存症、脂肪肝、糸球体硬化症、及び、がんと関連していた。これらの知見は、致死的熱中症にケトアシドーシスが多いことを示す最初の報告である。従来、熱中症の診断要件は、1.高温環境下の死亡、2.硬直を含む他の死後経過指標に比べて高体温であること、3.高体温を示す他の疾患・病態を除外することであった。しかし、上記3要件を充たすが、虚血性心疾患等、明確に、熱中症以外の死因で死亡している事例も少なくない。その中で、ケトアシドーシスは、ミオグロビン尿とともに、比較的特異的な、熱中症マーカーとなりうると考えられる。また、救急搬送された熱中症事例の診療において、ケトアシドーシスを想定することが求められる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
死体検案症例における熱中症の診断基準に再現性が低く、症例集積が不十分なため。
|
Strategy for Future Research Activity |
対象症例を、診断基準を満たした熱中症に加え、高温環境下での異状死に関しても疫学的な調査を追加する。
|
Causes of Carryover |
論文作成が遅延しているため、次年度に論文作成のための諸経費、および予備の物品購入費として使用予定。
|