2023 Fiscal Year Annual Research Report
寒暖境界期および寒冷期の死後経過時間推定精度向上に資する法昆虫学的指標の探索
Project/Area Number |
21K10529
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
三枝 聖 岩手医科大学, 教養教育センター, 准教授 (30398490)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高宮 正隆 岩手医科大学, 医学部, 教授 (30364334)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 寒暖境界期 / 寒冷期 / クロバエ科 / 低温耐性 / 越冬 / 休眠 |
Outline of Annual Research Achievements |
寒暖境界期および寒冷期の法昆虫学的死後経過時間推定は、温暖期に比し精度が劣る。その要因として、温暖期に活動する昆虫は休眠し成長を一時的に停止すること、寒冷期に活動する昆虫は成長が緩徐であることから、温暖期に活動するクロバエ科・ニクバエ科の幼虫の体長のような形態学的指標を死後経過時間の推定に利用することが難しい。そこで、寒冷期に活動するクロバエ科4種(ケブカクロバエ,オオクエロバエ,ホホアカクロバエ, フタオクロバエ)を中心に、低温耐性あるいは休眠に関与する遺伝子の発現量の経時的変動を調査し、時間経過の指標としての有用性を検討することにした。しかし、遺伝子解析のためには、寒冷期に活動するクロバエ科4種を卵から成虫まで管理環境で飼育し、所要時間を測定するとともに、経時的に試料を採取する必要がある。しかし、寒冷期に活動するクロバエ科4種の抱卵雌成虫個体の採集が極めて困難であった。寒冷期の法医解剖事例にて、幼若期(卵・幼虫・蛹)を採集した場合には、グロースチャンバにて構築した管理環境(明暗12h,明期20℃/暗期10℃,70% RH)に飼育し、経時的観察とともに遺伝子解析用試料の採取を試みたが、解析に必要な個体数を得ることができなかった。抱卵雌個体の採集が不調に終わった理由として、寒暖境界期・寒冷期のクロバエ科4種の飛来・産卵などの活動条件(気温・天候・時間帯など)が不明であったこと、温暖期に比し、個体数が少ないと思われることなど、クロバエ科4種の生態に関することのほか、寒暖境界期および寒冷期は昼夜の寒暖差や日内の天候の移り変わりが激しいなど、環境要因も考えられる。そこで、採集効率を上げ、遺伝子発現解析に必要な試料数を確保するため、屋外にブタ肉片を留置し、定点撮影装置で記録することで、クロバエ科4種の活動(産卵)条件を把握を試み、現在も継続中である。
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