2021 Fiscal Year Research-status Report
業務改善・業務の効率化を目指した業務量調査・分析の自動化に関する研究
Project/Area Number |
21K10554
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Research Institution | Tohoku Medical and Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
金澤 悦子 東北医科薬科大学, 東北医科薬科大学病院, 看護師 (10447154)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石幡 浩志 東北大学, 歯学研究科, 助教 (40261523)
瀬戸 初江 東北医科薬科大学, 東北医科薬科大学病院, 看護部長 (50813995)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 看護業務量調査 / アプリケーション |
Outline of Annual Research Achievements |
看護業務量調査は医療の改善や効率化に役立てられている。しかし現状では臨床現場ではリアルタイムに記録されることはなく、看護・処置の実施時とのタイムラグから業務実態との乖離が生じている可能性があった。そのため、医療現場で実施された看護や処置の内容を自動収集し、かつ、結果の表示と分析を可視化して業務改善につなげる汎用性の高いアプリケーションを開発することとした。 2021年度は「看護業務量調査の現状把握による調査法改善策のハード、ソフト面からの検討」を行うため、無記名自記式質問紙調査(郵送法)による実態調査を行った。調査内容は医療現場の実情を反映する項目内容とし、医療施設の基本属性や業務内容および看護師の持つスキルに関する項目等を設定した。その結果、業務量調査では業務を実施しながらのデータの自記式記入や入力はかなりの負担であったが、一方では正確にデータ収集が行われていたこと、結果の見える化では、業務量実施担当者が独自に分析を行っており、結果報告・還元では1~2ヶ月の時間を要し、報告書用紙で行っていた。また、一部ではシステムを利用した業務量調査を行っていた医療施設も見受けられ、調査の時間間隔は自記式記入に比べて短く、データ収集や結果の分析・報告も外部担当者と一緒に行われており、業務量調査への協力支援が受けられていたことがわかった。このことから、自記式による業務量調査に比べシステムの利用はデータ収集や結果の報告に関するメリットが大きいことが改めて確認され、業務量調査より見いだされた課題をもとに、業務量調査システム構築を検討する必要があると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2021年度は、「看護業務量調査の現状把握による調査法改善策のハード、ソフト面からの検討」を掲げ、予定通り無記名自記式質問紙調査(郵送法)による実態調査を行うことができた。その結果では、業務を実施しながらの業務量調査はかなりの負担であったものの、一方では正確にデータ収集が行われていたこと、結果の見える化では業務量実施担当者が独自に分析を行っていたこと、結果報告・還元では1~2ヶ月の時間を要し、報告書用紙で行っていたこと、システムを利用して業務量調査を行っていた医療施設では、調査の時間間隔が自記式記入に比べて短く、データ収集や結果の分析・報告も外部担当者と一緒に行われており、業務量調査への協力支援が受けられていたことが明らかになった。このことから、現状の課題や改善点を見出すことができ予定通り進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究では、看護や処置行為が行われる位置や時刻情報を調査データに反映できるAI-OCRアプリを導入する。診療支援端末PCへのAI-OCRアプリの導入には、病院長および医療情報担当者の許可を得る。そして、医療情報担当者と共に診療支援端末の裏側で調査アプリケーションを運用する手順や、得られたデータの個人情報管理およびセキュリティについての了承を得る。また、部署の診療支援端末PCへAI-OCRアプリを導入する際には、業務委員会メンバーの看護師長の承諾を得て、所属する病棟の診療支援端末PCを選択してもらう。 また、AI-OCRアプリを用いて自動収集するデータは専用PCのエクセルへ収集できるよう設定し、エクセル画面で結果分析フィードバックできるシートの設計製作を行う。専用PCは事前に研究者が準備する。さらに、AI-OCRアプリを用いて自動収集する項目は2021年11月に業務量調査で使用した大中項目でいいかどうか検討する。エクセル画面は、データ収集画面、結果の図表化の画面、自由記載内容のAI-テキストマイニング画面の3つの画面シートで構成できるようにする。そして、構築したアプリケーションを用いて業務量調査の試用を行い、運用可能性と業務改善効果を検討・評価する。 以上により、医療現場で行われた業務内容および看護行為を、診療支援端末を通じて自動収集し、結果の表示と分析の可視化、業務改善につながる汎用性の高いアプリケーションを開発する。これにより、実施した業務入力と同時に日常業務量調査が可能となり、業務の評価や改善が図られ、患者や医療者へ安全で安心な医療の提供、業務の効率化による経営改善につながることが期待できる。COVID-19による感染リスクが懸念される現在、看護のトレーサビリティに利用することも視野に実用的アプリケーションの構築を目指す。
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Causes of Carryover |
看護・処置行為が行われる位置や時刻情報を調査データに反映できるAI-OCRアプリを導入し、AI-OCRアプリを用いてデータをエクセルへ自動収集できるよう設定し、結果分析フィードバック可能なシート設計製作を行う必要がある。そして、構築したアプリケーションを用いて業務量調査の試用を行い、院内院外への医療施設を対象に運用可能性と業務改善効果を検討・評価する必要があることから、その経費分を次年度使用額に計上した。
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