2023 Fiscal Year Research-status Report
看護師長の組織アイデンティティが、病棟看護師の組織同一視に及ぼす影響の検証
Project/Area Number |
21K10560
|
Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
塚本 尚子 上智大学, 総合人間科学部, 教授 (40283072)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
舩木 由香 上智大学, 総合人間科学部, 准教授 (10389942)
工藤 みき子 昭和大学, 保健医療学部, 講師 (10802473)
片桐 由紀子 上智大学, 総合人間科学部, 助教 (60634657)
渡邉 彩 上智大学, 総合人間科学部, 助手 (90779977)
山形 寛 上智大学, 総合人間科学部, 助手 (80908765)
相沢 庸子 上智大学, 総合人間科学部, 助手 (90963067)
塚本 伸一 東京未来大学, こども心理学部, 教授 (40262480)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | 組織風土 / 看護師長 / 病棟スタッフ / 組織アイデンティティ |
Outline of Annual Research Achievements |
第1研究として、看護師長の組織アイデンティティを類型化し、看護スタッフの組織同一視との関係を明らかにすることを目的として計画した。ここでは、組織アイデンティティを抽出するため、看護師長を対象とした面接調査を予定し、先行研究に基づき組織アイデンティティの中核的性質、特異性、時間的継続性に沿って、組織アイデンティティを抽出し、その結果を類似性に基づき類型化することを目指した。2021年~2022年度にかけて20名の看護師長を対象に展開予定であったが、長引くコロナ禍の影響で、2022年度まで協力依頼を繰り返したものの、協力施設がわずかであり、結果的に2023年度も引き続き、対象者の募集を行い、研究を継続した。2023年12月までで、 最終的に22名の看護師長にインタビュー調査の同意を得ることができ、インタビュー調査を実施した。予定通り、面接を実施した看護師長が管理している病棟スタッフを対象に、これまで開発してきた尺度(塚本・野村,2007;塚本・結城他,2009)の尺度による質問紙を配布した。約600部を配布し、最終的に127名より回答を得た。これをもって、第1研究の実施プロセスについては完了とした。現在、22名の看護師長のインタビューで得た内容を、文字データに起こし分析中である。大まかな分析の結果は、2024年度日本看護管理学会の学術集会(2024年8月)で発表予定である。現在までに明らかになってきたことは、看護師長の組織アインデンティティの発信強度には強弱があること、さらに発信する組織アイデンティティには2つの異なる方向性があり、一方は患者を中心とした組織理念、他方はスタッフを中心とした組織理念であることの2点である。22の看護師長ごとにこれらを数値化できた段階で、スタッフのデータとマッチングを行い、最終的な目的への到達を目指す予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
第1研究は2021年~2022年度にかけて予定していたものの、長引くコロナ禍の影響で病院組織は非常に負担の大きい時期と重なり、調査協力を得ることが困難だった。このため予定の対象者数に到達することができず、2023年度も第1研究を継続した。この結果、全体としての計画進捗としては約1年の遅れが発生している。
|
Strategy for Future Research Activity |
2024年度は、2023年度に予定していた第2研究へと進めていく予定である。第2研究では、看護師長の病棟スタッフへの組織アイデンティティの伝達内容と方法を特定することを目的とし、看護師長5名程度を対象に、非参与観察および面接を実施する。観察を通じて、日々の臨床実践で看護師長から看護スタッフに、伝えられている組織アイデンティティの要素とその方法を抽出する。また、看護師長観察日にかかわりのもっとも多かった看護スタッフ2~3名に面接を実施し、スタッフ側の認識を調査することを予定している。所属大学の倫理審査申請を6月に受け、大学の夏季休暇期間中を中心に参与観察を計画していくことを予定している。
|
Causes of Carryover |
病院に勤務する看護師長ならび看護スタッフを対象とする研究であるため、コロナ禍の影響により業務が増加・煩雑化している中で、協力を得ることが難しかった結果、2022年度は予定通りに研究を進めることが困難を極め、結果的に1年間予定を延長して第1研究を終えた状況である。このため、予算執行にも滞りが発生したことによる。
|