2021 Fiscal Year Research-status Report
Microbial contamination of the surface of isolation gowns in nursing care exposed to droplet and its coutermeasure
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21K10571
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
田辺 文憲 山梨大学, 大学院総合研究部, 教授 (80217108)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森本 美智子 岡山県立大学, 保健福祉学部, 教授 (60342002)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 個人防護具 / ガウン / 飛沫 / 微生物汚染 / 口腔ケア |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は口腔ケアや喀痰吸引など特に飛沫に暴露する危険があるケアに焦点を当て,看護師の個人防護具の使用状況や着用時・脱衣時の問題点を質問紙調査で明らかにし、また,臨床場面で病原体を含む飛沫がガウンを汚染することを想定し,細菌やウイルスを含む模擬唾液の素材や加工法が異なる種々のガウン表面における微生物付着性の違いを実験により検証し,現在見逃されている感染リスクを明確にするることを目的としている。 2021年度は、研究代表者および研究分担者の所属機関の倫理委員会の承認を得た後、3県(山梨、岡山、兵庫)の4病院に勤務する看護師(400人)を対象に、個人防護具の使用状況に関するアンケートを実施した。有効回答数は259人であった。 分析の結果、患者ケアの際は、90%以上が個人防護具を使用し、マスクや手袋はほとんどのケアで使用されていた。最も使用されているガウンの種類はプラスチック製で、ガウンの着脱に要する時間は1分~3分が最も多く、1回のケアにおけるガウン着用時間は10分以上30分未満が多かった。ケアの途中でガウンを交換するのは30%台であり、「汚染したとき」や「部屋を移動するとき」であった。個人防護具の脱衣手順では、手袋から脱ぐ人が最も多く、次いで、「ガウンから脱衣」「ゴーグルから脱衣」の順であった。個人防護具の着脱で問題を感じている人は約20%であり、問題点として、「脱衣時に汚染部位に触れてしまう危険性」があげられた。口腔ケアや喀痰吸引を実施したことがある人は90%を超え、これらのケアを行う際の問題点は、「飛沫が飛んだり、体液が付着する危険性がある」「脱衣時に汚染された部位に触れてしまう不安がある」であった。新型コロナウイルス感染症の拡大により、「個人防護具の必要性や重要性を感じている」や「着衣・脱衣の意識が高まった」との意見があった。 調査結果をもとに、微生物付着実験をすすめている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
全国的に新型コロナウイルス感染症が収束しない中で、病院に勤務する看護師を対象とした個人防護具の使用状況に関するアンケート調査の実施が遅れたため、現在までの進捗状況はやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
病院に勤務する看護師を対象とした個人防護具の使用状況に関するアンケート調査結果より、臨床現場での看護師のガウン着用時間や着脱に要する時間などが明らかとなった。この結果をもとに、飛沫に暴露する危険性がある口腔ケアなどの場面を想定し、模擬唾液中の細菌(黄色ブドウ球菌、大腸菌、緑膿菌)およびウイルス(ファージ)を用いて、各種素材(防水性、撥水性、プラスチック製)のアイソレーションガウンを対象に微生物の表面付着に関する実験をすすめていく。実験条件として、アンケート結果を基に、唾液のガウンへの付着時間や付着量、さらに唾液の粘性、微生物の種類などを変化させ、その影響を検討する。実験結果の分析により、それぞれの種類のガウンでどのような微生物の付着が多くみられるかなどリスクを検証し、看護師が飛沫に暴露するケアをする際のガウン選択基準や感染対策案の見直しにつなげていきたい。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症が収束しない中で、医療機関における看護師を対象としたアンケート調査の承諾を得るのに時間を要したことにより、研究の実施がやや遅延した。そのため、微生物のガウン表面への付着実験の開始がやや遅れ、必要な物品の準備が遅れている。また、学会への参加はオンライン参加となったため、旅費が未使用であった。 次年度は、実験に必要な培地や試薬(消耗品)などを購入し、アイソレーションガウンを用いた微生物の付着実験をすすめ、どのような素材のガウンに微生物付着が多くみられるかなどを検証し、見逃されているリスクを明らかにし、感染対策案を見直していきたい。また、情報収集や成果発表のため、国内学会参加の旅費の使用を予定している。
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Research Products
(1 results)