2022 Fiscal Year Research-status Report
An experimental study on the effects of death education : Does ACP Increase QOD?
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21K10594
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Research Institution | Kio University |
Principal Investigator |
河野 由美 畿央大学, 健康科学部, 教授 (10320938)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | デス・エデュケーション / アドバンスケアプランニング / QOD(Quality of Death) / 死生学 / 死生観 / 看取り / エンドオブライフケア |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者はR2年度までの科研費研究で実験的手法を用い,死に対する態度変化を生理学的指標から検証した.加えてACP(アドバンス・ケア・プランニング:人生会議)啓発動画を開発し,誰もがYouTubeを通して視聴できるようにした.R3年度からの本研究では幅広い年齢層を対象にして,ACP動画の有効性を実証的に検証するように取り組んでいる.そして,QOD(死の質)を高めるためのデス・エデュケーションの効果とACPの有効性を考察し,より有用性の高いプログラムを開発することを本研究の目的としている. 研究実績としては令和3年度から継続して,YouTubeにアップしたACP動画視聴後にFormsからアンケート調査を実施している.また令和4年度も,行政が運営する市民を対象とした「終末期の暮らしを考える講座」(デス・エデュケーション関連)の講師を務め,講演後に受講者へデス・エデュケーションの効果に関する質問紙調査を実施した.そして令和4年度では,第34回日本発達心理学会のラウンドテーブル「死生心理学をいかに教えるか 大学での死生学教育の実践を通じた対話」で,話題提供者として「看護教育の中でのデス・エデュケーションの実践について」,これまで申請者が実施してきたデス・エデュケーション内容と,その効果と意義を中心に発表した.このラウンドテーブルは死生心理学研究会が企画・運営したもので,申請者もメンバーの一人である.当日は多くの死生心理学者や死生学教育に関心のある研修者が多く参加し,死について教えることに関して時間をかけて活発なディスカッションを実施した.その結果,死に関して教えることでは,特に受講者に対する倫理的な配慮の必要性があらためて明らかとなった.本研究においても,研究対象者に対する十分な倫理的配慮がなされる必要があり,自宅療養者へ実施する予定であった介入実験を再検討する必要性を感じた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染症拡大により,行動制限がなされる中,大学の講義もリモートが多くなり,介入(実験)を実施することが困難な状況となった.また,当初研究協力を依頼する予定であった,在宅療養支援診療所や訪問看護ステーションも,新型コロナウイルス感染症関連の対応に追われて,研究協力を行える状況ではなくなった.加えて在宅療養者も,新型コロナウイルス感染への不安が強く,本研究計画である「死に関して考えること」をすすめることは倫理的にも憚られ,外部の人間との接触を受入れることも困難な状況であった. また,PCのウイルス感染によるものか原因は定かではないが,これまで蓄積してきた文献やデータ情報など研究に関わる全てのデータを入れていたUSBが消去されてしまった.情報管理の面から,データのバックアップを行っていなかったため,研究に関してこれまで蓄積した全てのデータを無くすことになり,研究の進捗に大きく影響した. そうした状況により,本年度予定していた研究は予定通りにすすまなかった.
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Strategy for Future Research Activity |
研究実績や進捗状況の箇所でも記載したように、死に関して教える・考えることを促すには,倫理的な面からも相当慎重に配慮する必要がある.また新型コロナウイルスの影響により,在宅療養支援診療所や訪問看護ステーションは大きな打撃を受け,研究協力が難しい状況にある.そうした倫理的・社会環境的な状況変化により,本研究で当初実施予定としていた研究方法2の,在宅療養支援診療所の医師や訪問看護師と協働したアクション・リサーチから,利用者にACP啓発動画を視聴させることは中止する.代わりに研究1をより発展させ,一般市民を対象にしたアンケート調査を実施する予定である.
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症等の影響により,研究計画が予定通り実施できなかったことによる.次年度以降は当初の研究計画を変更し,ネットリサーチを用いた調査研究を実施する予定である.
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