2021 Fiscal Year Research-status Report
人工知能学に基づく認知症ケアの実践知を学ぶプログラムの開発と効果検証
Project/Area Number |
21K10627
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Research Institution | Wayo Women's University |
Principal Investigator |
小林 美亜 和洋女子大学, 看護学部, 教授 (00327660)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石川 翔吾 静岡大学, 情報学部, 助教 (00626608)
桐山 伸也 静岡大学, 情報学部, 教授 (20345804)
伊東 美緒 群馬大学, 大学院保健学研究科, 准教授 (20450562)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 認知症 / 人工知能 / チャレンジング行動 / シミュレーション教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、①認知症高齢者のチャレンジグ行動の理解に係る暗黙知を人工知能分野の知識表現に基づいて構造化し、②それをVRやICT/IoTの技術を活用したシナリオ型シミュレーション教育システム(視線追跡の指標と知識の習得状況を紐づけた評価による効果的な自動フィードバックシステムの構築を含む)に反映させ、③これらを学ぶ場として自己学習・協調学習の環境構築を図り、その教育効果を検証することを目的としている。 令和3年度は、研究目的①に関して、認知症高齢者のケア場面におけるチャレンジグ行動に関して、構造化を図った。例として、『物取られ妄想』や『収集癖』の事例に関して、分析を行い、「自分のあるべき姿」と、「老いたことでこれまでやれたことがやれなくなった自分の姿」との間で乖離が生じ、あるべき姿を取り戻そうと葛藤する「葛藤型」のケースなどを構造化した。 また、研究目的②に関して、学んだ知識を実践につなげることを可能とするシナリオ型シミュレーション教育システムの設計を行った。認知症高齢者は、脳の脆弱性からせん妄を生じやすいことから、①せん妄症状に気づき、②せん妄の準備因子、直接因子、誘発因子を発見し、③せん妄への対応を考えることのできるシナリオを作成した。このシナリオの中に、せん妄の誘発因になり得る「チャレンジグ行動に対する不適切な対応やケア」を組み込んだ。このシナリオに基づいて作成したVR教材の学びを深めるための協調学習や知識の獲得状況を自動的に評価することのできるシステム開発の検討を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究目的を達成するための基盤となる、認知症高齢者のチャレンジグ行動を構造化する方法を整備したことにより、実際の看護師の認知症高齢者への対応場面を撮影し、VR教材化する準備を整えることをできた。また、VR教材を通じて学びを深めるための協調学習の方法や知識の獲得状況を自動的に評価することのできる方法論について検討し、それを実装するための設計について検討を行うことができた。これらにより、令和4年度は、これらのシステムを試行的に運用し、教育効果の検証を検討する段階へと進めることができる。
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Strategy for Future Research Activity |
令和4年度は、作成した認知症高齢者のせん妄に関するシナリオ型教育システムの運用可能性と有用性に係る検証を行い、当該システムの精度を高めるとともに、実装化を進める。具体的には、看護学生を対象とし、当該システムを用いることによる学習効果を検証する。また、学習前後で、VR教材を視聴した際に、視線がどのように変化するか、またエキスパートの看護師と看護学生の視線ではどのような相違が認められるかを調査し、観察を行う視線と知識の紐づきに係る影響についても分析を行う。
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Causes of Carryover |
VR教材を視聴するための機材を購入予定であったが、令和4年度にその購入を繰り越したことによる。令和4年度は、VR教材を活用した検証が必要になるため、機材を購入する予定である。
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