2023 Fiscal Year Research-status Report
人工知能学に基づく認知症ケアの実践知を学ぶプログラムの開発と効果検証
Project/Area Number |
21K10627
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
小林 美亜 山梨大学, 大学院総合研究部, 特任教授 (00327660)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石川 翔吾 静岡大学, 情報学部, 講師 (00626608)
桐山 伸也 静岡大学, 情報学部, 教授 (20345804)
伊東 美緒 群馬大学, 大学院保健学研究科, 教授 (20450562)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | VR / 観察行動 / 視線情報 / 滞留時間 / 滞留回数 |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度は、開発した①視線情報の評価機能、②評価対象オブジェクトの自動検出機能を内包したシステムVRの教育システムの精度を高め、観察が必要「注目対象領域」を知識と紐づけ、知識習得の有無により、注目対象領域に対する観察行動にどんな相違が生じるのかを自動検出できるシステムも構築した。 次に、看護学生15名とエキスパートの看護師2名を対象とし、看護学生の群とエキスパート看護師の群で、観察行動における「滞留時間」「滞留回数」などの比較を行った。その結果、観察ポイントなる観察領域において、「滞留時間」「滞留回数」に差が認められた。その特徴をさらに分析したところ、エキスパートの看護師では、よく注視し「じっくり観察する」パターンが検出され、場面によって「さらに注意を払いながら長く観察する」パターンと「再確認を繰り返し行う」パターンがあることを明らかとなった。 また、エキスパートの看護師は、経験や知識から、アセスメントを行うために必要となる情報を取得することにおいて、優先度や順番を考慮し、重要な事柄については重点的に観察を行っている特徴が見出された。 加えて、看護学生の群で、VR閲覧後、せん妄要因やせん妄の判定に関わる確認テストを行い、各設問で、正答群と誤答群で、「滞留時間」や「滞留回数」の比較も行った。その結果、正当群では、観察ポイントの滞留時間が長く、滞留回数が多いことも明らかとなった。 次年度は、このVRの教育シミュレーションシステムを用いることによる、看護師を対象とした学習効果について検証を行う予定である。また、視線情報を集積することのできるデータベースを構築し、人工知能による自動フィードバックシステムの構築に向けた環境を整備予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究では、VRの教育システムを活用し、客観的な指標評価による効果的な自動フィードバックシステムの整備および自己学習・協調学習の環境構築を図り、その教育効果を検証することを目的としている。 この目的を達成するに際し、検討している指標の妥当性を検証することと、教育効果の検証を行うことが必要となる。これらの検証研究を行うためには、倫理委員会に申請し、承認を得ることが必要になるが、このプロセスが遅延してしまったたため、当該年度に検証研究を実施することができなかった。このため、研究が遅延し、次年度に持ち越すこととなった。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究目的を達成するための学習効果を定量的に測るための評価指標の精度を高め、遅れを取り戻すことができるように、既にこれらの評価指標の妥当性検証を行うことのできる体制を整え、研究が開始できる状況となっている。 また、臨床現場の看護師を対象とした教育効果を検証するための研究に関しては、既に倫理委員会への申請作業に着手しており、承認が得られたら、速やかに研究を行う体制を整えている。
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Causes of Carryover |
3年目に行う予定であった、VR教育システムで用いる評価指標の妥当性検証、教育効果の検証を行うことに必要となる諸経費(研究分担者の旅費、研究対象者に支払う謝礼、研究に用いる機材など)の費用が発生しなかったため、その費用が繰り越しとなり、次年度の使用額が発生した。
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