2021 Fiscal Year Research-status Report
統合失調症患者家族のResilienceに影響する要因の構造的分析と支援の検討
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21K10689
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Research Institution | Ibaraki Prefectural University of Health Science |
Principal Investigator |
中村 博文 茨城県立医療大学, 保健医療学部, 教授 (90325910)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | Resilience / 統合失調症 / 家族 |
Outline of Annual Research Achievements |
地域で生活する統合失調症患者の家族に対してのResilienceの概念を明確にするために,その最初の段階として,統合失調症患者のResilience概念をある程度明確にする必要があると考えた。そこで本研究の目的は,地域で生活する統合失調症患者のResilience概念に基づいて,自己を支える資源,サポート体制,生活行動などについて明らかにし,統合失調症患者の回復力を強化させるために,どのような支援が必要なのかの示唆を得ることである。 研究方法として,関東圏内の地域で生活する統合失調症患者240名を対象とし、2021年10月~2022年3月に質問紙調査を実施した。調査内容として,「病気の回復にあたって,自身を支えてくれる資源(もの・ひと・自身の考え方)は何だと思うか」ということを質問した。記載内容は意味内容に沿ってコード化し、カテゴリーを抽出して、質的帰納的に分析した。複数の研究者および臨床家で検討し,真実性,信憑性および妥当性の確保に努めた。本研究は茨城県立医療大学倫理審査委員会の承認を得て実施した(承認番号935)。 結果は,有効回答数94名(39.2%)であり,男性62名(66.0%),女性32名(34.0%),平均年齢(±S.D.)は45.1(±10.5)歳であった。136の記載内容をコード化し,10のカテゴリーが抽出された。以下カテゴリーを『』で示す。地域で生活する統合失調症患者のResilience概念に基づく自己を支える資源は,『家族の支援』『いろいろな人(家族以外)の支援』『自己の意思・行動』『肯定的な励まし』『仕事の存在』『信仰』『生活行動のあり方』『病気からの回復感』『同疾患の人との関わり』『趣味・気分転換』が抽出された。 考察として,将来的なビジョンを描くことにより,患者自身の強みや,何を大切にして生活をしていくのかなどを表出するようなケアが重要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の予定では,統合失調症患者の家族に対して質問紙調査を行う予定であったが,調査を依頼する家族会等の運用が新型コロナウイルス感染症の感染拡大により,家族会会合自体が中止になったため,実際の質問紙調査が行うことができなかったことが大きな理由となる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後2年間で,当初予定していた研究1~3までのことを行っていきたい。 2022年度研究1 研究目的:統合失調症患者家族が日常生活の中で抱えている、問題点や支えになっている事項などを調査し、統合失調症患者の家族レジリエンス尺度開発のための、予備的調査を行い、統合失調症患者家族レジリエンスの実態を把握する。研究対象:首都圏の統合失調症患者家族約100名に対して、質問紙調査を行う。調査内容・方法:調査内容として、一般的なレジリエンス尺度、患者の精神症状、家族の生きがい、日常の生活で困っていること・楽しいと感じることなど、人口統計学的因子;患者・家族(年齢、性別、家族構成、婚姻状況、教育年数、住居形態など)を調査する。 2022年度研究2 研究目的:統合失調症患者の家族レジリエンス尺度の開発を行い、信頼性・妥当性を検証し、調査に耐えうる尺度を作成する。研究対象:首都圏の統合失調症患者家族約300名に対して、質問紙調査を行う。調査内容・方法:統合失調症患者家族レジリエンス尺度、一般的なレジリエンス尺度、WHO-QOL26(QOL尺度)、自己効力感、自尊感情、健康統制感、情緒支援ネットワーク、日常苛立ちごと、患者の病気のこと(病名、発症年齢、入院の回数、精神症状、内服薬による副作用など)、人口統計学的因子;家族及び患者(年齢、性別、家族構成、婚姻状況、教育年数、住居形態など)を調査する。 2023年度研究3 研究目的:統合失調症患者の家族レジリエンスに影響をおよぼす要因(人口統計学的因子、社会生活状など)の特定を行い、それらの因子モデル・構造モデルの特定化を行う。その後、支援者としてどのような関わりができるのかを提言していく。
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Causes of Carryover |
本研究の家族に対する調査が新型コロナウイルス感染症拡大のため,実施できなかったので,設備備品費,旅費等を使用しなかったところによる。
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Research Products
(4 results)