2021 Fiscal Year Research-status Report
ALS患者の病気の受容に応じたコミュニケーション機器導入のためのケアガイドの作成
Project/Area Number |
21K10701
|
Research Institution | Seirei Christopher University |
Principal Investigator |
河野 貴大 聖隷クリストファー大学, 看護学部, 助教 (80837849)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 筋萎縮性側索硬化症 / コミュニケーション機器 / 在宅療養支援 / 多職種連携 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、在宅療養の支援者および病院の医療チームからコミュニケーション機器導入のプロセスや関連要因を明らかにし、ALS患者の病気の進行に伴う障害受容過程に応じたコミュニケーション機器導入のためのケアガイドを作成することである。 そのため、2021年度は、在宅療養支援者がALS患者・家族に対して行うコミュニケーション機器に関する支援のプロセスを明らかにするための研究を実施した。本研究の対象者は訪問看護ステーションに勤務し、ALS患者に対してコミュニケーション機器を導入した経験のある専門職者(看護師・理学療法士・作業療法士)で、経験年数が3年以上の者とした。研究対象の条件に合う候補者のうち本研究に承諾の得られた対象者に対し1回30分程度の半構成的面接を2回行い、得られたデータを質的帰納的に分析した。その結果、対象者は7名で、経験年数は10~20年が2名、20年以上は5名であった。在宅療養支援者がALS患者・家族に対して行うコミュニケーション機器に関する支援のプロセスとして、8つのカテゴリが抽出された。これらの結果から、在宅療養支援者は、コミュニケーション機器を早く導入した方が良いと考えながらもALS患者本人の意思を尊重し機器に関する提案の時期を探っていることが考えられた。ALS患者・家族がコミュニケーション機器を活用し、充実した生活を維持していくためには多施設・多職種における連携が必要であり、ALS患者・家族のニーズを把握し多職種にうまく繋いでいく看護の役割の重要性が示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2021年度に予定されていた研究についてはデータ収集・分析まで完遂できたため、おおむね順調に進展していると判断した。
|
Strategy for Future Research Activity |
2022年度は、神経難病患者が多く入院している病院に勤務し、ALS患者のコミュニケーション機器を導入した経験のある専門職者を対象にインタビュー調査を行い、コミュニケーション機器導入のプロセスにおける現状と課題を明らかにする。在宅・病院の専門職者がALS患者・家族に対して行うコミュニケーション機器に関する支援のプロセスをもとに、2023年度には臨床で活用可能なケアガイドを作成していく予定である。
|
Causes of Carryover |
2021年度は新型コロナウィルス感染症拡大によって医療状況が逼迫し、学術集会もオンラインでの開催となったため旅費や人件費の執行が困難な状況であった。 2022年度は病院に勤務する専門職者を対象とした研究を実施するため、遠隔会議システムを積極的に活用していく予定である。そのためのWEBカメラが内蔵された機器の購入などICT環境を整え、研究を遂行する。
|