2021 Fiscal Year Research-status Report
遺伝リスクがある乳がん女性のセルフ・トランセンデンスを促進する外来看護指針の開発
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21K10757
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Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
青木 早苗 関西医科大学, 看護学部, 准教授 (40516168)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤田 佐和 高知県立大学, 看護学部, 教授 (80199322)
杉本 健樹 高知大学, 教育研究部医療学系臨床医学部門, 准教授 (80216332)
高尾 鮎美 関西医科大学, 看護学部, 助教 (90880435)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | BRCA1/2遺伝子変異 / 遺伝リスクを有する女性 / 優先的にとりくむ課題 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,BRCA1/2遺伝子変異・あるいは遺伝リスクを有する女性に対して,今後優先的に取り組むべき看護の課題を明確にすることを研究目的とした. Arksey and O'Malleyの方法論的枠組みを用いて,スコーピングレビューを実施した.文献は,「遺伝性乳がん卵巣がん」,「遺伝性乳がん卵巣がん症候群」,「HBOC」,「BRCA」,「看護」のキーワードを用いて,2000年から2020年までに発表された論文をデータベースから検索した.また,文献は,原著論文とレビューを分析対象とした.文献ごとにテーマに関する記述の抽出を行い,抽出したデータは,取り組むべき今後の課題に応じて,内容分析を行った. 文献検索の結果,36件が選定基準を満たした.今後優先的に取り組むべき看護の課題は,ルーチンケアとしての関わり,遺伝性がんに関する体系的な看護師教育,効果的なinformed decision-makingの整備,対象者の多様な体験世界の理解,継続的な多職種介入システムの確立,プライバシーや差別の懸念から生じる課題への対応,家族ベースのヘルスケアモデルへの転換,健康増進・予防への戦略的関与の8つに分類された. 遺伝リスクを有することは,血縁者にも関与し,将来を予測しうる情報である.今後は家族ベースの健康増進・予防に関わることができる継続的な多職種介入システムの確立が必要である.その中で,看護師には対象者の多様な体験世界を理解し,人と人を繋ぐ中心的な役割が求められる.そのためには,遺伝診療に関わる看護師の役割を明確にし,診療の中で生じる多様な課題に対応できる看護師の遺伝教育が急務である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
遺伝性乳がん患者および家系員への看護ケアの現状と課題を明確にすることを本年度の目標にしており,本年度は国内外の現状を明確にするためにスコーピングレビューを実施した.その際に,遺伝診療へのルーチンケアとしての関わりや継続的な多職種介入システムの確立,家族ベースのヘルスケアモデルへの転換,健康増進・予防への戦略的関与などが重要であることが明確になったと同時に,現在,日本の乳腺外来では体系的に取り組んでいる施設が未だ少なく,乳腺外来に勤務する看護師への質問紙調査は難しいと考えた.従って,実際に体系的に取り組んでいる施設で勤務する看護師へのインタビュー調査を実施する予定に変更していたが,COVID-19の影響により,実施することができなかった.
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Strategy for Future Research Activity |
がんゲノム医療中核拠点病院・拠点病院・連携病院において,乳腺外来で勤務する看護師の遺伝性乳がん患者および家系員への看護ケアの現状と課題を語ることができる対象者をもとに遺伝診療へのルーチンケアとしての関わりや継続的な多職種介入システムの確立していくための工夫などをインタビュー調査する.可能であれば,感染対策には十分に留意し,対面で実施するが,難しい場合は,オンラインでのインタビューが実施できるように調整する.同時に,遺伝リスクがある乳がん女性が直面する問題状況とセルフ・トランセンデンスを促進する支援項目・具体的看護ケア内容の抽出を実施する.
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Causes of Carryover |
今年度は打ち合わせ会議やインタビューの実施による人件費を使用しなかったため,次年度は会議,インタビューにかかる人件費,論文発表にかかる経費に使用予定である.
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