2021 Fiscal Year Research-status Report
レジリエンス促進支援を必要とする早期乳がん患者の特徴の解明
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21K10766
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
末田 朋美 岡山大学, 保健学域, 助教 (90553983)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森 恵子 岡山大学, 保健学域, 教授 (70325091)
芳我 ちより 香川大学, 医学部, 教授 (30432157)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 早期乳がん / resilience / CD-RISC |
Outline of Annual Research Achievements |
レジリエンスは逆境に曝された個人の回復力あるいは回復過程と説明される概念である。本研究は、外来診療が中心であり医療者の介入機会が少なく、乳がん罹患・治療に伴い直面する問題への対処が患者自身に求められる早期乳がん患者を対象に、短期間の入院や外来診療でも確実なケアの提供を目指した看護実践モデルを構築するために、重点的なケアが必要である予測されるレジリエンスの低い早期乳がん患者の特徴を明らかにすることを目的としている。本研究では早期乳がん患者のレジリエンスを測定するために、レジリエンス測定尺The Conner and Davidson Resilience Scale(以下、CD-RISCとする)を使用することとした。CD-RISCは世界で広く使用されており乳がん患者の他にも様々な対象に用いられているレジリエンス尺度であるが、日本での使用はほとんど認められておらず、日本語版CD-RISCとして妥当性を検証した論文は発表されていない。よって、本研究の第一段階として日本語版CD-RISCを作成し、妥当性を検証することとした。 現在は、CD-RISCのWebsite(http://cd-risc.com)に公開されている連絡先を通じてCD-RISCの使用と日本語翻訳に関する許可を得て、翻訳に関する手続きを確認している。尺度の使用許諾を得るための手続きを行い、公式に認められた翻訳手順で実施することは尺度の適正な使用と研究倫理に則て研究を遂行するために必要である。また、CD-RISCの公式ウェブサイトで公開されているCD-RISCを使用している論文とCD-RISCの使用に関するマニュアルを精読している。様々な文献でのCD-RISCの使用を確認しておくことはデータの解析および考察に有用である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度および次年度に日本語版CD-RISCを作成し妥当性を検証する予定であるが、日本語版CD-RISCが完成していないため進捗はやや遅れている。尺度使用および翻訳にかかるマニュアルについて英文で詳細に記載されているため精読に想定以上に時間を要したが、尺度の適正な使用と日本語版尺度作成のためには必要な準備であった。 また、研究者はこれまで質的分析による研究を実施してきたが、統計的手法を用いての研究実施が初めてである。データ解析を確実に行うため統計学に関する基本的な学習を行いつつ、準備を進めていた。また、統計解析に統計解析ソフトSPSSを用いる予定であったが、研究者の所属施設のライセンス契約により使用が可能なStataについて使用を検討していたため統計手法の確認に時間を要した。なお、統計解析ソフトStataを使用した場合の研究者のコスト負担はない。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、手続きに則ってCD-RISCの日本語翻訳を行い、暫定版日本語版CD-RISCを作成し、乳がん患者を対象に質問紙調査を実施する。調査協力施設に研究協力を依頼し、調整する予定である。クロンバックのα係数を算出し信頼性を確認する。また、尺度の表現の分かりにくさの有無や理解可能かどうかを確認し表面妥当性を検討する。構成概念妥当性は、各項と背景因子の関係性を因子分析により検討する。データ解析には統計解析ソフトStataを使用する。尺度作成者の承認を得たうえで日本語版CD-RISCとし、研究の次段階である早期乳がん患者のレジリエンスと関連因子の実態調査を行う。
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Causes of Carryover |
研究計画時点では、統計解析ソフトウェアにSPSSを使用する予定であったが、所属施設がライセンス契約をしているStataの使用を検討している。そのため、SPSSを購入を見送ったために残額が発生した。Stataは所属施設におけるライセンス契約であるためデータ分析にStataを用いる場合は統計解析ソフトにかかる費用は発生しない。 令和3年度の予算として調査研究のための旅費を計上していたが,コロナ禍による行動制限があったこと、参加した学会がオンライン併用開催であり出張が不要となり次年度使用額が生じた。次年度の収集データの解析に必要な費用に充当する予定である。
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