2021 Fiscal Year Research-status Report
がん薬物療法における「患者を支える医療」のモデルケースの構築
Project/Area Number |
21K10788
|
Research Institution | Shizuoka Cancer Center Research Institute |
Principal Investigator |
北村 有子 静岡県立静岡がんセンター(研究所), その他部局等, 研究員 (10364035)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | がん看護学 / がん薬物療法 / 副作用症状 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、がん薬物療法を受ける患者の治療継続とQOL向上を目指し、多職種連携による「患者を支える医療」の具体的なモデルケースを検討することである。 これまでに作成した「処方別がん薬物療法説明書」は、病院で運用中で、Webサイトでも公開(https://www.scchr.jp/information-prescription.html)している。本年度は、患者・家族が必要とする情報について院外からも収集できるように、ご意見を募るページを設け、医療関係者や患者・家族支援団体に周知を行った。 また、院内における資源やシステムの現状把握として、多職種の病院スタッフから意見聴取した。患者の自宅で副作用症状が出現した際、患者・家族が副作用症状を理解、早期発見し、医療者へ報告できるかどうかが鍵となる。特に近年増加している免疫チェックポイント阻害薬を用いた療法では、副作用症状が多岐にわたり、数か月から1年以上経過して出現する場合もある。スタッフからは、患者・家族の判断は一層難しくなっているとの意見が複数あり、医療者側の課題としては、一部の医療者に限らない幅広いスタッフの知識の普及・向上と、継続性・連動性のある支援システムが挙げられた。 作成している説明書は、支援システムのうち情報支援として、患者・家族の知識の獲得・補強と、医療者への報告の判断を助けるツールとなる。さらに行動支援として、患者が副作用を自己管理するツールを構想しており、近年盛んなアプリ活用の検討を行った。文献や、アプリ運用実績のある医療機関の医師から情報収集をした結果、設問はQOL質問票や副作用症状の重症度を評価するものなど、目的に応じて複数種類が用いられていた。実臨床での課題としては、記録継続のほか、症状悪化時の病院連絡方法、医療者の24時間支援体制などが見出せた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1年目は、情報収集と全体構想の検討が主であり、計画全体としてはおおむね順調である。
|
Strategy for Future Research Activity |
Web公開中の説明書について、医療関係者や患者・家族支援団体などへの周知および説明書の追加と修正、掲載内容の検討を行う。 また、患者が副作用を自己管理するためのツールについて、①評価項目(我々が開発したPRO-SCC尺度や既存の質問票)の信頼性・妥当性、②入力方法(紙媒体、Web、アプリ)を検討する。病院での試行研究は、複数診療科を対象にし、運用面での課題についても見出せるように計画する。
|
Causes of Carryover |
以前に基本部分を構築したマークシート方式の「副作用メモ」を活用する予定であったが、将来を考えるとWebやアプリを用いたほうがより発展性があると考えた。マークシート方式からWeb構築に変更し、その費用に充てる予定である。
|