2022 Fiscal Year Research-status Report
造血幹細胞移植患者に対する運動支援プログラム開発に関する基礎的研究
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21K10794
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
久保 江里 宮崎大学, 医学部, 助教 (60825355)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
末次 典恵 福岡大学, 医学部, 教授 (60363355)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 造血幹細胞移植 / 運動療法 / セルフマネジメント |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、造血幹細胞移植患者(以下、移植患者)の移植前後と退院後の生活における身体活動量と運動への取り組みについて明らかにし、そこから移植患者に対する退院後の生活を見据えた多職種協働による運動支援プログラム試案を検討することである。本研究では、移植患者に対する看護師とセラピストの運動支援促進に向けたニーズを明らかにするために、移植前後の運動支援について調査する。次に移植患者の運動への関連要因を明らかにするために、入院中と退院後の身体活動量と運動への取り組みについて調査する。そこから移植患者のQOL向上を目指し、入院から退院後の生活における多職種協働による運動支援プログラム試案を作成する。 令和4年度は、造血幹細胞移植患者に対する運動療法の効果に関する文献検討まで終了した。移植患者を対象にした運動療法の介入効果の検証に関する国内文献は少ないため、海外文献を概観し、移植患者の運動支援の方向性と課題を明確化することを目的に文献検討を行った。文献検討から明らかになったことは、介入後の効果として、体力、機能的能力、倦怠感、QOL の改善がみられており、身体的および心理社会的健康の複数の要因の改善につながっていたことである。一方で運動プログラム終了後に運動を中止することによる効果の消失が課題であり、運動療法の長期的な有効性についてはほとんど検証されていないことが明らかになった。また、造血幹細胞移植後の患者は健常者と比較して不安や抑うつが強いだけでなく、身体的、精神的、そして全般的な倦怠感が有意に強いことが明らかになっている。移植後の運動強度を調整しながら活動量を維持し、運動療法を継続するためには早期からのセルフマネジメントの必要性が極めて高いことが示唆された。現在、移植患者のセルフマネジメント強化のための患者教育の要素についてさらに文献検討し、調査に向けて準備を進めている段階である
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
令和4年度は入院中の移植患者に対する病棟看護師とセラピストの運動支援促進に向けたニーズについて調査する予定であった。しかし、新型コロナウイルス感染拡大の影響で研究協力施設への交渉が困難になり、研究計画に遅延が生じたため、「遅れている」とした。
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Strategy for Future Research Activity |
移植患者に対する運動療法の課題として、運動プログラム終了後に運動を中止することによる効果の消失が課題であり、運動療法の定着が困難であることが明らかになった。運動療法を継続するためには早期からのセルフマネジメントに必要性が極めて重要である。移植後患者のセルフマネジメント支援を行うための対象者の絞り込みについて検討した上で調査する。
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Causes of Carryover |
R4年度は調査予定であったが、研究計画に遅延が生じたため、次年度使用額が生じた
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