2021 Fiscal Year Research-status Report
がん免疫薬物療法の有害事象に対する患者・家族のセルフモニタリング感度向上に向けて
Project/Area Number |
21K10816
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Research Institution | Shizuoka Cancer Center Research Institute |
Principal Investigator |
山本 洋行 静岡県立静岡がんセンター(研究所), その他部局等, 研究員 (00581175)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | がん免疫薬物療法 / 有害事象 / 患者・家族 / セルフモニタリング |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、がん免疫薬物療法を受ける患者・家族の免疫関連有害事象に対するセルフモニタリングの感度向上を目指し、免疫関連有害事象の症状説明の確立を目的とする。初年度の研究実施計画では、研究対象施設でがん免疫薬物療法を受けた患者の電子カルテデータを用いた後ろ向き調査を行い、発現した有害事象とともに患者・家族の言動に関するデータを収集し、免疫関連有害事象独特の症状表現や行動、前兆となるシグナル症状を抽出し、集約することを計画した。 2014年の悪性黒色腫に対するニボルマブ療法承認時から、現時点(2022年3月)までに研究対象施設でがん免疫薬物療法を受けた延べ患者数は約18,000人であった。免疫関連有害事象は、発現時期が明確に特定できるものはなく、導入から長期に治療経過を探索し、有害事象に関連するデータを収集する必要がある。治療経過の長短は患者によりさまざまであり、治療期間は数週間から約3年であった。約18,000人すべての患者のデータを収集することが一番であるが、1人の情報収集に要する時間は1時間程となり、研究者1人では限界があった。そこで、殺細胞性抗がん薬などとの併用療法では免疫関連有害事象を明確に特定しにくいことから、単剤療法かつ対象数が最も多かったニボルマブ療法のみに限定しデータの収集を行った。しかし、2021年度だけでも対象数は約2,000人であり、免疫関連有害事象独特の症状表現や行動、前兆となるシグナル症状の抽出には、網羅的に探索する必要があるため、データ収集を継続中である。 加えて、対象施設内におけるがん免疫薬物療法に関する部会においても、定期的に免疫関連有害事象で緊急受診/入院、死亡した患者の情報を収集している。ニボルマブ療法に限定した患者ではないが、免疫関連有害事象特定例として、こちらの患者についてもテータの収集を継続している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の根幹はカルテを用いた後ろ向き調査により、発現した有害事象および、その前後における患者・家族の言動に関するデータを集約することである。対象者数は非常に多いが、データ収集は順調に実施できており、かつ、対象施設内におけるがん免疫薬物療法に関する部会とも情報共有を行って、免疫関連有害事象特定例のデータの収集も併せて実施できている。そのため、研究遂行に大きな障壁なくおおむね順調に進展できていると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続きデータの収集を継続しつつ、免疫関連有害事象に関してのデータを集約する作業を行っていく。それにより、免疫関連有害事象の症状説明に関する表現の確立を目指す。
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Causes of Carryover |
本研究では、大量のテキストデータを扱い、それを集約・処理する必要がある。そのため、当該年度にデータの処理能力の高いラップトップパソコン(約35万)の発注を行ったが、コロナ渦による半導体不足に加え、ロシアとウクライナによる戦争の勃発などにより物流が停滞したため、当該年度の納品不可能となり、次年度の前半に納品予定となった。そのため、書面上では、次年度使用額が生じているが、そのほとんどが支出が確定しており、ほぼ計画通りの経費の支出となっている。
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Research Products
(1 results)