2021 Fiscal Year Research-status Report
知的障害者の妊娠出産育児支援のためのわかりやすい母子健康手帳と活用ツールの開発
Project/Area Number |
21K10838
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Research Institution | Niigata University of Rehabilitation |
Principal Investigator |
藤澤 和子 新潟リハビリテーション大学(大学院), リハビリテーション研究科, 教授 (30739420)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉浦 絹子 名古屋女子大学, 健康科学部, 教授 (50378296)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 知的障害者 / 母子健康手帳 / 妊娠出産育児支援 / わかりやすい情報提供 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、知的障害のある妊産婦が自らの意思で主体的に健やかに子どもを産み育てることを支援するために、日本の母子保健の要として普及している母子健康手帳の情報を、障害特性を配慮してわかりやすく提供することを目指し、知的障害者用のわかりやすい母子健康手帳と、支援での利用方法を示すための専門職者用の活用ツールを開発することを目的とする。 令和3年度は、わかりやすい母子健康手帳を作成するための検討用資料として、3つの調査を実施した。①知的障害者を対象に母子健康手帳の省令様式について理解の難しい言葉を抽出する調査。②知的障害のある母親に母子健康手帳の利用実態を個別の半構造化面接により調査。③市町村の母子保健担当保健師に知的障害のある母親を支援する時の利用実態と修正を望む点を半構造化面接により調査。 調査結果では、①母子保健や医学の専門用語等の多くの語彙が、理解できない、難しい言葉として抽出された。②省令様式は調査対象の全員が利用、任意様式は不使用だった。省令様式の記入頁は、保健師や家族が一緒に書く等の援助により部分的に記入されていたが、医療従事者が記録する健康診査や予防接種等の専門用語や発育曲線グラフは説明を聞いても難しかったという回答だった。③省令様式は健康診査や予防接種等を記入して知的障害のある母親に説明している。任意様式は厚生労働省の通知による作成例のままでは利用しにくい。必要な時に必要な情報にアクセスできる母子健康手帳のわかりやすいリーレットや動画等があれば利用しやすい等の意見がでた。 今年度の知的障害者を対象とした調査により、省令様式についてわかりやすく修正する必要のある語彙と、知的障害のある母親の利用実態を明らかにすることができた。これらの結果は、知的障害者(疑いを含む)が利用しやすく、わかりやすい母子健康手帳を提案するための検討用材料として重要な基本情報となる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
実施した調査のうち、主に保健師へのインタビュー調査についてはコロナ禍により協力者を募ることが難しく、件数を取ることができていないため、調査を継続して結果をまとめたい。
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Strategy for Future Research Activity |
実施した調査のうち、主に保健師へのインタビュー調査は継続して結果をまとめる。知的障害の母親に実施した母子健康手帳の利用実態調査結果と、母子健康手帳の省令様式の難しい語彙リストは関連学会で報告する。省令様式と任意様式のわかりやすい版の制作について、令和4年度は、実施した3つの調査結果を分析し、国内の関連文献や母子健康手帳国際会議等による情報を合わせて制作プランを具体的に検討し、着手する。
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Causes of Carryover |
令和3年度は、次の2点について計画の変更が生じたため使用額が予定より減少した。参加を予定していたアムステルダムで開催予定の第12回母子健康手帳国際会議がコロナ禍のためWEB開催となった。本年度当初は、都市近郊の約500程度の市町村の保健センターや保健所の母子保健担当保健師・助産師に知的障害者の母子健康手帳の利用状況等を質問紙調査する計画だったが、関連分野の専門家から得た意見をふまえ、必要な情報を確実に得るために知的障害者への支援経験が多い保健師への個別インタビュー調査に変更した。3年度の不使用額と4年度分と合わせて、わかりやすい版の制作にマンガや動画等の手法を取り入れる制作費用等として使用する予定である。
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