2021 Fiscal Year Research-status Report
Development and effects of educational program for midwives on early response to pregnant victims of Intimate Partner Violence
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21K10861
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Research Institution | Teikyo Heisei University |
Principal Investigator |
飯島 亜樹 帝京平成大学, ヒューマンケア学部, 講師 (40611877)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 真理 文京学院大学, 看護学研究科, 特任教授 (20216758)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | IPV / IPV被害妊婦 / 妊婦健康診査 / 助産師 |
Outline of Annual Research Achievements |
妊娠期は、Intimate Partner Violence(親密なパートナーからの暴力、以下、IPV)被害の契機や悪化につながりやすい。しかし、看護職に対するIPV教育は机上での知識教育に限られており、臨床現場でIPV被害妊婦への対応を実践するのは難しい。そこで本研究は、助産師が主体的に得たIPV被害妊婦に対する初期対応の知識を臨床実践に活かせる教育プログラムを開発し、その効果を検証することである。 令和3年度は、ADDIEモデル(栗田, 2017)に準じ、既に分析、設計、開発、実施までの手順を踏んだプログラム内容を継続して行った。プログラム構成は、豪州で教育効果が保障されている教育プログラム(ANEW)を基盤とし、IPV被害妊婦への支援を実践するために重要な「IPV被害妊婦の特定」と「初期対応」を含めた3セッションの動画視聴と、臨床現場でIPV被害妊婦との遭遇場面を想定できるロールプレイング用の事例を設計・開発した。ロールプレイングに関しては、COVID-19の影響により勤務助産師に対して対面での実施が困難となったため、オンラインによるディスカッションに方法を変更した。 勤務助産師に、プログラム受講前・受講直後で自記式質問紙調査を実施し、IPV被害妊婦への初期対応能力の変化を項目毎の差を順序名義尺度として検定を行った。さらに、受講後2~3週間にプログラムの有効性を定性的に検証した。また、カークパトリックの4段階評価モデル(Kirkpatrick, 1959)のレベル3(行動:受講者の行動変容の評価)に至る評価を実施するため、プログラム受講後に実践期間を約1年設定した後の実践度について受講者へのインタビュー調査を実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画時は、学習者が主体的に知識を習得するオンライン学習と、その知識を活用し判断・行動する実践レベルに到達するための対面学習を組み合わせたBlended Learning手法でのプログラム構成を予定していた。しかし、COVID-19の影響により対面学習が困難な状況となったため、全ての過程をオンラインで実施できるよう方法を変更した。 結果的に、動画視聴での学習とオンラインでのグループワークを組み合わせたことにより、勤務形態が不規則であり多忙な勤務助産師にとっては、参加者の都合の良い場所・時間でプログラムへの参加が可能となり、さらに対象者の居住地域を限定することなく全国的な助産師に対してプログラム配信が可能となるというメリットが得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
カークパトリックの4段階評価モデル(Kirkpatrick, 1959)のレベル1(反応:アンケートによる受講者の満足度評価)、レベル2(学習:受講者の学習目標到達度の評価)は実施済であり、介入効果が得られている。現在は、レベル3(行動:受講者の行動変容の評価)に至るプログラム評価を実施するため、受講者に対し、プログラム実施後約1年でのプログラム実施に関するインタビュー調査を実施している。 本年度(令和4年度)は、ADDIEモデル(栗田, 2017)に準じ、現在のインタビュー結果を含めた総合的分析を行い、プログラムの再構築を実施する。具体的には、プログラムの回数、期間、具体的内容、展開方法等、プログラム内容の課題を明確にすることで、助産師が臨床現場でIPV被害妊婦への対応を実践するためのプログラム開発を目指す。なお、COVID-19の今後の状況予測が困難であるため、現行通り、全ての過程をオンラインで実施可能なプログラム方法で設計・開発する予定である。 再設計、再開発した改良プログラムの効果を検証するため、令和5年度は、Before and Study(前後比較試験)による対照研究デザインによりプログラムを実施し、その効果を検証する。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由として、申請時はオンライン学習と対面学習を組み合わせた教育方法でのプログラム開発・実施を計画していたが、COVID-19の影響により、全ての過程をオンラインで実施することに変更としたことが主な要因である。また、本年度は採択以前から実施しているプログラムを継続実施とし、カークパトリックの4段階評価モデル(Kirkpatrick, 1959)のレベル3(行動:受講者の行動変容の評価)に至るプログラム評価を主軸としたことも影響している。 本年度の調査・分析結果を基に、令和4年度はプログラムの再構築を行う。具体的なプログラム内容は現段階では不明であるが、リアルな妊婦健診でのIPV被害妊婦との遭遇場面を描写するため、実際の看護師と妊婦が会話している状況設定場面の撮影を行うことを計画している。その際には、出演や撮影に伴う人件費および謝礼が必要となる。さらに、これら再設計、再開発したプログラムは、業者を通してオンライン上で対象者を募集し、公開する予定である。 研究成果等は、随時、国内外の関連学会・学会誌等で積極的に発信し、開発したプログラムとその研究成果を広報する。
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