2023 Fiscal Year Research-status Report
低出生体重児の母親の育児における自己効力感の縦断調査と影響要因の解明
Project/Area Number |
21K10874
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Research Institution | Kansai University of International Studies |
Principal Investigator |
黒川 麻里 関西国際大学, 保健医療学部, 講師 (90826059)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 低出生体重児 / 母親 / 育児 / 自己効力感 / NICU / 退院 / 支援 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、NICUに入院する低出生体重児の母親を対象に、NICUから自宅に移行する時期の母親の育児における自己効力感の時期的な変化及び育児の自己効力感に影響する支援を明らかにし、個々のニーズに合った支援のあり方について検討することを目的としている。 育児の自己効力感は、“子どもの世話を自分で計画し実行できる”という親の育児に対する自信であり、他者からの支援によって高めることができることがわかっている。低出生体重児の母親は、正期産正出生体重児の母親より育児への不安が強いことが報告されているが、我々の研究では、NICU入院中において、低出生体重児の母親の育児における自己効力感は、正期産正出体重児より低いとは言えない結果であった。この要因のひとつとして、NICUでの支援が考えられた。そこで、低出生体重児の母親の育児への自信を高めることができれば、育児不安をなくすことはできなくても、対処しつつ育児を継続できるのではないかと考えた。 本研究は3段階で構成しており、今回の研究は第2段階にあたる。研究の第1段階は、第2段階の調査に用いる尺度として、英語で開発された育児の自己効力感(PMP S-E)尺度を翻訳し、尺度の信頼性と妥当性を検討した(日本版PMP S-E 尺度)。今回は、母親へのインタビューによる質的データ及び日本版PMP S-E 尺度を用いた縦断的調査から得たデータを分析し、母親の育児における自己効力感の時期的な変化とその時期に母親の育児の自己効力感に影響するNICU看護師の支援について検討することを目的としている。 本研究の進捗状況としては、新型コロナ感染症の影響により当初の計画より遅れているが、研究協力施設及び研究協力者を得たことから、2024年度は計画していた内容で調査を進める予定である。今回の研究で明らかになった結果は、第3段階の介入研究の基礎となる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本研究は、NICUに入院する低出生体重児の母親を対象に、研究協力施設においてインタビューによる質的データの収集と質問紙調査による量的データの収集を計画している。収集したデータの分析から低出生体重児の母親の育児の自己効力感の時期的な変化を明らかにし、その変化に応じた個別支援のあり方を検討する予定で準備を進めていた。しかし、2021年度及び2022年度は、新型コロナ感染症拡大のため、研究協力施設への訪問、対象者への接触が困難となり、予定していた調査の開始延期を余儀なくされた。研究協力施設で調査ができないこの間に、文献検討を行った。 2023年度は、文献検討を進めるとともに、新しく研究協力施設の開拓を行った。その結果、研究協力施設及び研究協力者を得て、改めて所属機関及び研究協力施設の倫理委員会の審査を受け、研究協力施設の倫理委員会の承認を得ることができた。現在、研究協力施設との研究実施のための調整、研究協力者と研究方法の確認と調整を行いつつ、調査開始の準備を進めている。所属機関の倫理委員会からの承認が得られ次第、調査を開始する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度、2022年度は新型コロナ感染症拡大のため計画していた研究を進めることができなかった。当初、研究協力施設との調整及び調査実施の準備を始めていたが、新型コロナ感染症の終息が長引いたため、一旦、研究協力施設との調整を中断することになった。 2023年度は改めて研究協力施設の開拓から始め、研究協力施設及び研究協力者を得ることができた。現在、研究協力施設の倫理委員会の承認を得て、調査の開始に向けて調整・準備を行っている。所属機関の倫理委員会の承認が得られ次第、調査を開始する。 調査は、研究計画の通り、NICUに入院する低出生体重児の母親約20名にインタビューを行い、質的データの分析から母親の育児の自己効力感に影響するNICU看護師の支援について検討する。質的データ分析とともに、質問紙法による縦断調査を実施し、母親の育児の自己効力感の時期的な変化とその時期に母親の育児の自己効力感に影響するNICU看護師の支援について検討を行う予定である。研究の開始に時期的な遅れはあるが、調査が開始できれば、申請当初の計画内容及び時間的流れで研究を進めることができると考える。
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Causes of Carryover |
本研究は、医療機関での調査が必要である。2021~2023年は、新型コロナ感染症拡大により外部者の医療機関への訪問が困難な状況であり、研究が計画通りに進まず予算計画に変更が生じた。2024年度に研究協力施設から調査実施の承諾があり、当初の計画より遅れてはいるが、研究内容は計画の通り行う。申請した予算は、研究遂行のために必要な予算であり、調査実施とともに計画通り使用する予定である。
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