2021 Fiscal Year Research-status Report
学童期と思春期の女性に焦点をあてた冷え関連症状の緩和を目指した基礎的研究
Project/Area Number |
21K10898
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Research Institution | University of Human Environments |
Principal Investigator |
羽藤 典子 人間環境大学, 松山看護学部, 准教授 (50626489)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上西 加奈 人間環境大学, 松山看護学部, 助手 (10805948)
三並 めぐる 人間環境大学, 松山看護学部, 教授 (20612948)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 学童期 / 思春期 / 女性 / 冷え症 / 起立性調節障害 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、申請者が確立した判別分析を用いた冷え症者と非冷え症者との識別指標を援用し、学童期から思春期の女性における冷え症状とめまいや立ち眩みなどを主症状とする起立性調節障害(以下、ODとする)との関連性および身体的・心理的特性を明らかにし、症状の緩和策や予防法を科学的に解明することである。これまで、申請者は、女子大学生を対象に冷え症者と非冷え症者の身体的及び精神的な特性を多次元的に検討し、冷え症者を識別する指標を判別分析法により統計学的に明らかにしてきた。しかし、学童期の冷え症状に焦点を絞った報告はほとんどないのが現状である。 ODの症状とされる気分不快、立ちくらみ、動悸、めまいなどは、近年の研究により、重症ODでは自律神経による循環調節(とくに上半身、脳への血流低下)が障害され日常生活が著しく損なわれ、長期に及ぶ不登校状態やひきこもりを起こし、学校生活やその後の社会復帰に大きな支障となることが明らかとなっている。このODの症状と冷え症の女性が自覚する症状との類似性に着目し、これらの識別指標を援用することで、学童期や思春期の女性の冷え症状およびOD(めまいや立ちくらみなど)の症状を抽出できるのか、そして、冷えを感じていない女性と比較し、どのような特性を有しているのかについて、冷え症状に関する愁訴の特徴、身体的な指標と、食生活・活動・睡眠など生活習慣との関連性などを明らかにしたいと考えている。 第1段階:学童期および思春期の女性の多次元的な生理学的指標の検証(冷え症状に関連した質問紙調査、自律神経状態の測定、末梢循環動態、サーモグラフィを用いた皮膚表面温度の測定、非接触型レーザー血流計による末梢皮膚循環動態、冷水負荷試験後の手指皮膚表面温度の回復率の測定) 第2段階:冷えに関連した症状の緩和策や予防法を科学的に解明し、その生体反応および主観情報を収集し、有用性を検証する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度は、新型コロナウイルス感染症の影響により、調査を中断せざるを得ない状況となった。また、本来実験に使用する予定であった専用の部屋のスペース確保が困難となり、高額な機器を保管するスペースの確保ができなかったため、実験環境の整備が進まず、結果的に測定に必要な機器の購入も見送る形となった。幸いにも本学別学科が次年度開設となったことを受け、実験室としての使用許可が下りたため、次年度は実験環境が整い次第、予備実験から開始する予定である。 以上のことから総合的に「やや遅れている」と判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
次年度については、早急に実験環境の整備を終了し、今年度実施できなかった予備実験の実施後、研究協力対象者との調整と連携をはかり,調査・実験を進め、学童期および思春期の女性の多次元的な生理学的指標の測定と特性を明らかにする。その特性をもとに、第2段階の冷え関連症状の緩和を目指し、主にAVA血管が存在する部位(手指・足底・頸部など)をターゲットとした局所保温等を実施し、介入前後の身体的・心理的状況の変化を統計学的に説明し,冷え・そのほかの症状緩和を目指す。
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Causes of Carryover |
今年度予定していた予備実験が実施できなかったため、次年度はその予備実験とともに計画していた本実験を行う予定である。よって今年度分の人件費、謝金、消耗品分が使用額に加わっている。
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