2021 Fiscal Year Research-status Report
助産学実習における助産師と教員の「医療事故回避教育プログラム」の開発と検証
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21K10918
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Research Institution | Kansai University of International Studies |
Principal Investigator |
中島 通子 関西国際大学, 保健医療学部, 教授 (60347648)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上田 恵 新潟県立看護大学, 看護学部, 助教 (50835650)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 医療事故回避 / 実習指導者育成 / 分娩介助 / プログラム開発 / 聞き取り調査 |
Outline of Annual Research Achievements |
日本における助産学実習はその中核となっている.実践能力の定着が図られていると言える.即ち「実習を担当する臨床実習指導者には重大な責任と期待」があることに他ならない.指導者の学生への問いかけ やフィードバックを行うことが学生の学びに影響を与えるという報告(岩木,1996)がある.分娩介助を執り行う実習指導者に対して求める能力には,「分娩進行に沿った分析,判断,行動を意識し,産婦へのケアの一貫性を保つこと」,「分娩の進行状 況や異常兆候を見逃さないように学習のポイントを学生に伝える」とある.(大崎,2014) 分娩介助実習では,産婦の刻々と変化する状態を見逃さず学習環境を整え,タイムリーな指導が必要となり,産婦の安全を確保しつつ,学生の学びの状況を判断し学生の戸惑いや混乱が最小限になるように配慮する必要がある.専門職者・教育者でもあること,更に産婦にとり安全・安心を提供することが必須である.助産師としての能力と教育者,そして何よりも産婦にとり,安全・安心を提供しなくてはならない立場にある.指導者は指導方法の検討や学生の習熟度等の情報を取得し,事故回避に努めなくてはならない.助産実習指導者の学生指導における分娩介助の事故回避に向けた教育プログラムは開発されていない.この開発と検証は,助産師の指導能力へのFDと教育を受けた学生が産婦の安全・安心な分娩を執り行える助産師への成長へと繋ぐことが可能となる.医療事故判例を再発防止の観点から分析し助産師教育並びに実習指導者教育に役立てることが可能となる. 実践の場で活用できる医療安全教育プログラム開発が可能となる.繰り返し起こる事故の抜本的な解決策の検討ができ、これからの医療を担う医療従事者教育に役立つものと考える. 指導者への教育的アプローチに活用可能なケースを示し,専門職者の能力向上に貢献する可能性がある.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究が遅れている理由として、データ取集(質的)であるインタビュー対象者の確保である.コロナ対応に助産師が派遣される状況や実習が滞っていることや、実習そのものが中止される施設があり,指導者を確保することが大変困難な状況にある.様々な方法を考え倫理申請において,遠隔的操作の導入により面接を実施することを申請した. そのことにおいて対象者は現在6名までデータ収集ができているが,20名を目標としていることからも、次の質問票の作成に進むことが遅れている.質問票作成には最低でも10名以上のデータが必要であることから今後,共同研究者にもデータ収集のためのインタビューを依頼し分析を進めていく必要がある.また,収集したデータを分析し質問票作成にへと作業を進めるにはデータを突き合わせカテゴリ作成に運ぶ、分析作業が必要である.ZOOM等の遠隔会議での分析は質的データ分析作業は困難が予測され信ぴょう性確保の不十分な状況が懸念される.データ収集のための人員確保と調査対象者の施設の許諾・助産師の推薦が得られるよう働きかけが必要となる.
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Strategy for Future Research Activity |
現在,先行研究の調査内容の検索を行いつつ、半構造化面接表(インタビューガイド)を作成し、対面・遠隔操作による(ZOOM)機能を使用し面接対象者の希望に沿い調査を行っている.面接調査は当初20名を最大限と想定しており、スノーボールサンプリング法により対象者募集を行い,選定条件として分娩介助指導を担当している助産師を紹介していただき、説明ののち同意を得てデータ収集方法を選定して頂く方法を取り調査を進めている.現在データは6名より収集できており,順次逐語録作成が終了している.今後対象者を募りデータ収集実施を継続し,質的に収集した内容を分析し、データ分析、カテゴリ作成を完成させ、質問票の作成へと進める.質問票は、Googleホームによる質問票の回答も視野に入れ,作成とカテゴリ作りを同時並行にて実施し作成と修正を行い、質問票の完成を目指しアンケート(質問票)の実施へと進める予定である。アンケート(質問票)の回収と配布(電子データか紙媒体)を検討は安全性,信頼性を確保できるように,1000件の配布と,回収30%を目指し、分析を行う予定である. 課題としてコロナ対策で対面面接が今だ難しく,データ収集が遅々として進まない状況にあること,データとして重要なエッセンスを持つ事の予測される現任の指導助産師のデータを取得することが困難な状況にあることである.質データの逐語録の作成は専門業者に依頼することも視野に入れている.また質問票(アンケート)分析には量データ分析の専門者の指導を受けながらプログラム作成を予定し、介入研究に入る施設を決定することを考え実施予定である.また,共同研究者が1名であり調査票の配布作業、分析作業には複数名が必要と考えており人選を視野に入れている.
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Causes of Carryover |
今年度においては、調査実施が進まなかったため調査費として使用予定であった交通費、謝礼が使用できなったことである。 また,途中経過報告として学会報告を予定していたが,海外での発表がコロナ禍で渡航できなかった事,調査が進まず発表できるデータが収集できなかったことが使用額生じた理由である. 次年度は海外の学会発表にエントリ―予定をしており、本邦でも1本予定している. 更に、アンケート調査を進める予定でありそちらのへの経費使用を予定している。
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