2023 Fiscal Year Annual Research Report
脳性麻痺児の自律神経活動の概日リズムの特徴とその影響因子に関する研究
Project/Area Number |
21K10931
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
松井 学洋 関西学院大学, 教育学部, 准教授 (70549211)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 脳性麻痺児 / 概日リズム / 自律神経活動 / 睡眠覚醒リズム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、24時間の心拍変動と活動量の定量的な測定を通して、①脳性麻痺児の自律神経活動の概日リズムの特徴を明らかにする、②脳性麻痺児の睡眠覚醒リズムの特徴を明らかにする、③睡眠覚醒リズムを含む生活環境、臨床像、在宅看護援助が自律神経活動の概日リズムに与える影響を検討することである。脳性麻痺児6名、定型発達児5名の研究協力を得ることができ、心拍変動の測定にはActiHR5、活動量の測定はMTN-220を用い、3日間の測定を行った。 脳性麻痺児の自律神経活動の特徴については、測定期間全体のLF/HFが定型発達児より有意に高くなっていた。これは脳性麻痺児では同年代の定型発達児と比較して、一日を通して交感神経活動が優位になっていることを示していた。また、一般的に睡眠時間帯はHFが増加し、LF/HFは低下することが報告されているが、脳性麻痺児では睡眠時間帯においても定型発達児より高く、睡眠中も継続して交感神経活動が亢進している状態が示唆された。これは、脳性麻痺児における自律神経系の異常の要因になっている可能性が考えられる。 一方、概日リズムについては、脳性麻痺児、定型発達児ともに交感神経活動において覚醒時間帯は上昇し、睡眠時間帯は低下する周期性を認めた。また、睡眠覚醒行動の周期性についても、脳性麻痺児、定型発達児ともに24時間周期の概日リズムを示した。結果として、自律神経活動と睡眠覚醒行動に明確な概日リズムを認めることが示唆されたが、脳性麻痺児では交感神経活動が恒常的に亢進していることがその特徴と考えられた。 概日リズムへの影響因子について統計的な分析を行うことはできなかったが、今回対象となった子ども達は全員が平日は毎日通園、通学をしており、規則正しい入眠覚醒時刻と生活習慣が概日リズムの形成に影響を与えた可能性が示唆された。
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