2023 Fiscal Year Research-status Report
悲嘆作業と新しい命を迎えるチャレンジ―周産期喪失後の2つの課題への適応支援
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21K10952
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Research Institution | Shonan Kamakura University of Medical Sciences |
Principal Investigator |
岡田 明子 (蛭田明子) 湘南鎌倉医療大学, 看護学部, 教授 (80584440)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
太田 尚子 静岡県立大学, 看護学部, 教授 (50285053)
堀内 成子 聖路加国際大学, 大学院看護学研究科, 特命教授 (70157056)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 周産期喪失 / ペリネイタルロス / 流産 / 死産 / 新生児死亡 / 次の妊娠 |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は、周産期喪失の中で最も多い、流産を経験した女性を対象とした冊子を作成した。冊子の中では、流産を経験した後のこころと身体の反応に始まり、次の妊娠よりも前に、まずはしばらくの間をどのように過ごすかに焦点をあてて、社会生活に適応できるこころと身体のバランスをとる具体的な方法の説明に、記載を多くした。また、次の妊娠を考えるうえで留意する点や、次の妊娠に向けての相談・検査(希望する場合)・助成制度等の情報を掲載した。 冊子は当事者や医療者、行政に広く配布した。冊子を配布した当事者に質問紙調査を実施したところ、冊子全体に対する評価は非常に高く、とても参考になるという意見であった。特に心理的な側面に関する情報は、流産に対して他者からの理解が得られにくい感情の波が、普通のことであることが分かり、安心したという意見や、気持ちが整理されるなど、肯定的な意見が多かった。また、流産後の過ごし方や次の妊娠に対する情報について、流産後の辛い状況下、自分で情報を探すしかない現状において、知りたい情報が詰まっており、有用であるとの意見であった。 上記冊子を手にした女性の反応や、2023年度の研究者らの活動から、喪失後の次子妊娠に向けた支援は、流産死産を反復することへの葛藤や、なかなか妊娠できないことへの葛藤など、必ずしも次の妊娠の成立が保証されたものではないことにも配慮が必要であることを改めて認識した。特に、次の妊娠に思考が集中してしまうことで生じるストレスの大きさにも目を向ける必要がある。こうしたストレスを抱える女性が、子どもを亡くした悲嘆そのものが理解されにくい社会で周囲にサポートを求めることは難しく、ストレスへの対処法を女性が知り、身につけることは、より一層重要であると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
情報媒体である冊子の作成・意見を聴取後、当事者に対するワークショップの内容を見直し、検討に時間がかかったため、開発が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
①ワークショップの内容は2023年度に検討を済ませている。7月中にワークショップの研究倫理審査を申請し、遅くとも9月には開催、評価までを行う。 ②対面でのワークショップ以外に、継続的な支援の提供を可能とするため、オンデマンドで利用できるストレスマネジメントの情報支援ツール(動画、及び冊子)を作成する。
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Causes of Carryover |
ワークショップ開催に至らず、開催にかかる諸経費や研究成果の公表の支出が発生しなかったため、2023年度計上分の予算の一部が2024年度に繰り越しとなった。 2024年度は、ワークショップ開催にかかる会場費や人件費、情報ツールの媒体作成費、及び研究成果の公表に助成金を使用する。
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