2021 Fiscal Year Research-status Report
若年女性における腹圧性尿失禁の実態と新しい生活様式下の骨盤底筋脆弱化予防戦略
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21K10978
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
中田 晴美 昭和大学, 保健医療学部, 准教授 (90385469)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 尿失禁 / 若年女性 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、性差に特化した女性専用外来も開設され、その疾患の1つに尿失禁がある。日本人女性の約30~40%が尿失禁を経験しており、日常生活が著しく阻害されているものの、医療機関を受診する女性はごくわずかである。加えて、尿失禁を有する女性の約半数が腹圧性尿失禁と報告されているが、その研究の多くは、出産直後や中高年女性を対象としたものである。本研究は、若年未婚女性における腹圧性尿失禁の実態と腹圧性尿失禁発症に関連する要因を明らかにし、新しい生活様式下における骨盤底筋脆弱化予防戦略を開発することを目的としている。 今年度は、若年未婚女性における腹圧性尿失禁の実態を明らかにするための文献検討を実施した。若年女性を対象とした尿失禁に関する文献および、引用文献をスノーボール式に収集し検討したところ、いずれの研究においても対象者の10%前後が尿失禁を経験していた。尿失禁の頻度としては、週に1回以下~2、3か月に1回の割合が多く、尿失禁の量は「下着が少しぬれる」程度の軽症の割合が多かった。また、尿失禁の予防方法を知らない者は約70%であり、情報入手先は「テレビ」、相談相手は「母親」であった。尿失禁時の実際の対応としては、「何もしない」「生理用ナプキンを使用する」が多く、受診したことがある者は10%以下であり、中高年女性を対象とした先行研究と同様の結果であった。加えて、若年女性の尿失禁発症に関連する特徴的な要因として「長時間の運動習慣」「ジャンプ」「姿勢の悪さ」があげられていた。さらに、妊娠前に尿失禁を経験したことがある女性ほど妊娠・出産後の尿失禁の発症率のリスクが高くなることが指摘されており、早期の段階からの尿失禁予防・改善にむけた知識の提供や介入が重要であることが確認できた。 この結果を踏まえ、若年未婚女性における腹圧性尿失禁の実態を明らかにするための質問紙項目の精選および実態調査を実施する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
令和3年度は、若年未婚女性における腹圧性尿失禁の実態を明らかにすることを目的としたアンケート調査を実施する予定であった。そのため、始めにこれまでの先行研究の概要を把握し、質問紙票を作成するための文献検討を行ったが、若年女性の尿失禁に関連した研究がほとんど行われていないため、文献収集に時間を要してしまった。加えて、新型コロナウイルス感染状況の影響により、主な対象者となる学生への研究協力依頼が進んでおらず、計画に遅れが生じている状態である。
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Strategy for Future Research Activity |
文献検討の結果から、本研究対象者である若年女性の尿失禁の特徴を踏まえた質問紙票案が完成したことに加え、新型コロナウイルス感染状況も落ちついてきているため、現在の在校生や卒業生を中心に研究の調査依頼を行い、これを足掛かりにスノーボール方式で研究対象者を集めていく予定である。アンケート調査により、収集したデータの分析を行うことで、腹圧性尿失禁の有病率や発症に関連する要因を明らかにした上で、さらに詳細な実態を明らかにするためインタビュー調査を実施する計画である。
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Causes of Carryover |
(理由)令和3年度は、本研究の特徴や新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けて、研究の進行に遅れが生じ、文献検討等を実施したため、主にアンケート調査に関連する支出が発生しなかった。 (使用計画)令和3年度に執行できなかったアンケート調査に用いる健康関連QOL尺度のライセンス料、書籍、パソコン購入に加え、令和4年度に予定しているインタビュー調査に関連した研究補助員謝金、成果発表に関する経費を執行する計画である。
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