2021 Fiscal Year Research-status Report
ビッグデータを活用した高齢者の保健事業と介護予防の一体的な実施事業の評価
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21K10994
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
小林 和成 岐阜大学, 医学部, 准教授 (70341815)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
纐纈 朋弥 岐阜大学, 医学部, 教授 (40457114)
西田 友子 岐阜大学, 医学部, 准教授 (70621762)
田中 健太郎 岐阜大学, 医学部, 助教 (50755832)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 保健事業 / 介護予防 / 一体的実施事業 / 事業評価 / ビッグデータ / 国保データベース(KDB)システム |
Outline of Annual Research Achievements |
研究1:岐阜県の国保データベース(KDB)システムに、平成27-29年度に蓄積された後期高齢者健康診査の結果169,216件分をデータベースとし、健康状態を明らかにし、各種事業へとつなげるための健康診査の有用性を明らかにした。 健康診査受診者の基本属性、受診回数別に身体組成、血液データ、問診項目等との比較検討を行った。各種疾病の有無を目的変数として、性別に年齢を調整変数に設定した上で、受診回数を説明変数としたロジスティック回帰分析にてオッズ比を算出した。 結果、健康診査の受診回数が増える程、血液データの代表値は基準値に近い傾向にあった。生活習慣病の有無に対する受診回数のオッズ比は、男性の75歳以上85歳未満は0.918(p=0.024)、糖尿病の有病に対する健診の受診回数のオッズ比は男女の75歳以上85歳未満,85歳以上は0.889(p<0.001)、0.898(p=0.023)、0.863(p<0.001)、0.914(p=0.015)だった。 研究2:後期高齢者の低栄養に影響する要因について、研究1のシステムに令和元年10月-令和3年3月の期間に収録された問診票データまで揃っていた34,796人分を対象とし、ニューラルネットワークを用いたアプローチ方法の有用性を検討した。 調査項目は、基本属性(性別、年齢)、BMI、血清Alb、RBC、Hb、Ht、フレイル関連の問診項目6項目とした。多層パーセプトロンにより、従属変数に血清Albの低栄養:1、非低栄養:0、独立変数として因子に各問診項目の該当:1、非該当:0、共変量に年齢・BMI・栄養関連指標を投入し、血清Albのカットオフ値を4.0-4.5の間に設定した解析を性別に試みた。 血清Alb値が4.0では学習/テストの特異度、4.5では敏感度が高かった。独立変数の重要度は、何れの血清Albのカットオフ値でも栄養関連指標が上位を占めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
国保データベース(KDB)システム内に、年度毎の健康診査を通して、後期高齢者の身体組成、血液データ、問診項目等が蓄積され、また受診の有無に限らずレセプト、入院医療費、外来医療費、歯科医療費、調剤費等のデータも併せて支障なく集約されている。 研究協力者である岐阜県国民健康保険団体連合会や岐阜県後期高齢者医療広域連合等とも調整を図りながら進められており、各種データの授受においても県の個人情報保護審査会の承認を経て、円滑に利活用が出来ている。 介護、及び「保健事業」と「介護予防」の一体的な実施に基づく事業にかかるデータの集約には至っていないが、岐阜県国民健康保険団体連合会や岐阜県後期高齢者医療広域連合、既に事業に取り組んでいる市町村とデータの集約に向けた検討、手続きを行っている。 現時点においては、後期高齢者の身体組成、血液データ、問診項目、レセプト、入院医療費、外来医療費、歯科医療費、調剤費等のデータを用いて、次なる計画につながる解析まで実施できたため概ね順調に進んでいると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
岐阜県内の42市町村の個別、及び県全体での保健事業と医療の情報に加え、介護、「保健事業」と「介護予防」の一体的な実施に基づく事業の情報にかかるデータも紐づけした統計学的なアプローチに留まらず、機械学習や人工知能等を用いた解析を行う予定である。 具体的な内容としては、ハイリスク・アプローチの効果として、低栄養・口腔・服薬・生活習慣病重症化予防等への影響要因の検討を行う。 ポピュレーション・アプローチとしては、通いの場における健康教育・健康相談、通いの場において、後期高齢者の質問票等を用いてフレイル状態にある高齢者を把握し、低栄養や筋力低下等の状態に応じた保健指導や支援の効果を検討する。 まだ全ての市町村が、高齢者の保健事業と介護予防の一体的な実施事業に着手していないため、既に実施している市町村からデータを集約し、電子的なビッグデータベースの構築を図っていく。 最終的には、「保健事業」と「介護予防」の一体的な実施に基づく事業の参加状況別に、次年度以降のメタボリック・シンドロームの該当状況、フレイル関連疾患の罹患状況や医療費等を比較検討する。また、それに関連する過去の健診の受診状況や結果、保健指導の利用状況や内容・方法、その他対象の基本属性や各種保健事業、地区組織や自主活動等について統計学に加えて、機械学習を活用したアプローチにて事業の効果を評価する
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Causes of Carryover |
データベースの構築、及びデータ使用等に人件費を要することを見積もったものの、岐阜県後期高齢者医療広域連合の組織内で管理、運用することができ得た。また、解析用のソフトウェアの購入を計画していたが、初年度のデータ解析においては研究者、及び研究者が所属する組織が保有するソフトウェアによる対応の範疇であった。 次年度は、介護や「保健事業」と「介護予防」の一体的な実施に基づく事業にかかる各種データを取り扱うため、解析用のソフトウェアを要する。また、紙ベースデータを電子データ化したり、電子データ同士を紐づけする等のデータの加工・管理作業に伴う必要が生じる。さらに、研究成果を国内外の学術誌へ投稿したり、学術集会等で発表する機会のために、費用使用することを計画している。
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Research Products
(2 results)