2022 Fiscal Year Research-status Report
訪問看護を利用する在留外国人におけるACPプロセスの実践的モデル構築
Project/Area Number |
21K11016
|
Research Institution | Otemae University |
Principal Investigator |
山本 純子 大手前大学, 国際看護学部, 教授 (50413422)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
郷良 淳子 京都府立医科大学, 看護学部, 教授 (40295762)
川上 友美 藤田医科大学, 保健衛生学部, 講師 (60553097)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | 在留外国人 / 訪問看護管理者 / ACP |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究目的は訪問看護を利用している在留外国人におけるACP(アドバンスドケアプランニング)プロセスの実践的モデル構築に関する研究課題を明確にするための調査と半構成的インタビューにより、ACPの課題を明らかにすることである。2022年度は在留外国人のACPプロセスの実態調査による課題分析を混合研究で進めていく予定でスタートした。しかし、調査は、コロナ禍の影響を受け、回収率が悪く、十分な調査結果までには至らなかった。 調査対象である訪問看護ステーションへ、1042か所に郵送したが、回収率は約4%にとどまった。そのため、回収期間の延長を行い、6か月期間の延長にて依頼を行ったが回収率は上がらなかった。以上により、研究成果の学会発表や論文投稿までは達成できなかった。さらに海外の多文化に関する情報を得るための渡航もコロナ禍により実現できなった。 現在、回答を得た40人のデータを分析中ではあり、その途中結果では、訪問看護ステーションでACPを実践した看護師は男性8人、女性12人であった。また、国別では中国、韓国、アメリカの順に多く、訪問看護師はACPが「必要と思う」が67%で半数が必要と思っていた。また、在宅メンバーで情報の共有を「している」看護師は22%、「していない」看護師はは55%、であり、必要と思っているが情報共有が十分でないことが示唆された。それを受けて、ACPの実践や関わりで困ったことについて因子分析を行い、2因子「プロセス」と「説明」が抽出された。そこで、「説明」を従属変数とし、「ACPの情報共有」と「チームでACPを必要と思っている」を独立変数とした重回帰分析を行った結果、「ACPの情報共有」している方が有意に関係した(P<0.038)。質的研究は、ACPを体験した訪問看護師へのインタビューも並行して進めている段階である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
進捗状況ではデータ分析と在留外国人のACPを体験した訪問看護師へのインタビューの準備を進めているところである。 具体的には40人より回答を得た、調査票の基本属性、管理体制、ケア内容、ACPに関する回答、尺度などの解析を進め、データをまとめている。さらに在留外国人を体験したインタビューに同意した訪問看護師20名程度に対してはACPに至る経過とそのケアについて具体的に聞き取る予定である。これは、訪問看護を利用する在留外国人におけるACPプロセスの実践的モデル構築のACPプロセスの実態を把握するためとプロセス構築の基盤作成に向けた作業として実施する予定である。インタビュー内容は①訪問看護師が体験した印象に残る在留外国人の方(複数名可)のACPのプロセス、②その方(複数可)の在留外国人の方にACPの実践でうまくいった要因、③その方(複数可)の在留外国人の方にACPの実践で困難を中心に聞き取りを行う予定である。
|
Strategy for Future Research Activity |
2023年度は調査で回答を得た分析を行い、明らかにされた課題と在留外国人における訪問看護のACPのうまくいった事例、又は困難さやその要因を抽出し、どのようなプロセスで実践されているかについてインタビューにて聞き取り、研究者で精選し、実践的モデル構築の作成に着手する。さらに、ACPプロセスを具現化するためには海外における実態を幅広く分析し、比較する必要がある。そこで、海外の情報を得るため、アメリカで地域活動や訪問活動においてACPを実践している看護師とソーシャルワーカーの2名を召致して実態を聞き取り、日本における在留外国人のACPのプロセスの構築に関わる要因を探る。その結果を関連学会への発表と論文の投稿を考えている。
|
Causes of Carryover |
本研究の対象者である在留外国人は日本という異文化の中で生活環境に慣れるため、 努力し、文化を理解しようと努め、言語や慣習、暮しに早くなれるように日々生活をしている。2023年5月より感染予防対策が解除され、海外からの旅行客も増えてきた。当初、海外でのインタビューを計画していたが、昨年度は難しく、海外でのインタビュー期間の課題が残った。そのため、2023年度は海外に住む日本人の看護師とソーシャルワーカーを呼び、海外の情報と実態報告や交流会を予定し、ACPに関する異文化の比較研究をする。したがってアメリカより2名、日本に1週間程度の招致を考えている。
|