2021 Fiscal Year Research-status Report
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21K11023
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
後藤 健一 九州大学, 医学研究院, 教授 (30549887)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 高血圧 / 多職種連携 / 職域集団 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、多職種連携によって高血圧発症に関与するリスク因子を同定し、リスクに応じた適切な指導を行うことで高血圧発症予防につなげることである。具体的には、職域の産業保健師と産業医が協働して、①新たなデータベースの構築、②交感神経活性化に焦点を当てた高血圧発症に関与する新たな因子の探索、③多職種による血圧管理スキームの確立を目指している。これまでに既に、年齢、性、身体計測値(身長, 体重, 安静時血圧, 脈拍数 、生活習慣(喫煙, 飲酒, 食事, 運動)、血液・尿検査、安静時心電図所見についてデータベースを構築してきた。 令和3年度は、2006年以降に行われた5年ごとの心臓病健診で得られた、心臓超音波検査所見(左房径, 中隔壁厚, 後壁厚, 拡張期左室径, 収縮期左室径, 左室駆出率, 左室拡張能E/e’)およびトレッドミル運動負荷試験所見(運動時最大収縮期/拡張期血圧, 運動時最大心拍数,運動終了時収縮期/拡張期血圧, 運動終了後収縮期/拡張期血圧)のデータの入力作業をすすめた。また、本研究から得られた研究成果について高血圧に関係する国内外の学会や研究会で発表するとともに、高中性脂肪血症が新規高血圧発症の危険因子となることを明らかにした研究成果について論文化した (J Hypertens. 2021 39(4):677-682)。さらに、これらの研究成果の一部は職域の健康管理担当者を対象とした健康講話で紹介し、従業員の健康管理にもフィードバックすることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
データベースの構築は順調に進展している。本研究から得られた成果は国内外の学会等で発表され論文化もされている。産業保健師・産業医による多職種連携も推進された。
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Strategy for Future Research Activity |
令和4年度は、心臓病健診のデータ入力を完了させ、データセットを作成する。心臓病健診から作成されたデータセットを既存のデータと統合させ、新たなデータベースを構築する。同様に、3年ごとの睡眠時無呼吸健診から得られた簡易睡眠検査および終夜睡眠ポリソムノグラフィーのデータ(総睡眠時間, 入眠潜時,覚醒反応指数,中途覚醒時間,徐波睡眠時間,周期性四肢運動の回数、無呼吸低呼吸指数)のデータ入力、データセット作成、データの統合についても併行して進めていく。 定期健診、睡眠時無呼吸健診、心臓病健診のデータベースの統合が出来た後に、高血圧発症に関与する因子の探索を行う。本研究では中年男性の高血圧発症と交感神経活性化との関連に焦点をあてデータを分析する。具体的には、肥満や睡眠不足・睡眠障害と高血圧発症との関連、運動時の過剰な血圧上昇と高血圧発症との関連等について分析し、高血圧発症の新たな予測因子を明らかにしたい。また、本研究の遂行を通して、多職種による高血圧管理スキームの確立や多職種連携コンピテンシーの醸成を目指したい。
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Causes of Carryover |
新型コロナ感染症の感染拡大のため、本年度も関連する学会がすべてオンラインで開催されたため予定していた旅費の支出が不要となった。また、データ入力のための研究補助員の人件費を予算に計上していたが、本年度は研究補助員の採用は行わず、予定していた人件費が不要となった。次年度はデータ入力のための研究補助員を採用する予定であり、今回発生した次年度使用額については研究補助員の人件費に充てたい。
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Research Products
(9 results)